燃える絵
春彦は黙って聞いている全員を見回して
「だけど九州は違う」
九州は多くの人が特別な家系を知っている
「俺の友達に田中ってやつがいるんだけど、金持ちだけど普通の資産家で、でも俺より特別な家系のことを知ってた」
他の人間も同じだった
と告げた。
「ただ、彼らの生活がそれによって巨大な負の影響を負ってるかというと違う」
表立っての問題はないと俺は感じた
「一番の問題は…俺は特別な家系内部とその周辺にあるもっとも特別な家系に近い家系にあると思う」
その視点は元とも隆とも允華とも違うモノであった。
允華は春彦に言われて
「確かに、そうだよな」
と呟いた。
親友の泉谷晟は特別な家系というものを大きく意識していない。
勿論、彼の家や白露家の息の掛かった企業などは便宜もあるし大きなバックボーンがあるということを知っているし、それを感謝している。
負の問題が生じている訳ではない。
生じているのは家系の内部での権力闘争や骨肉の争いだ。
朧清美もそのために命を落としたのだ。
允華は春彦に
「じゃあ、春彦君はシステムを残していても良いと?」
と聞いた。
春彦は首を振ると
「それは俺や直兄…島津家と秋月家の偏った負担が大きすぎて俺は嫌だけど」
と言い
「だからと言ってバンバン止めていくことは望ましくないと思ってる」
反対に今の体制で平穏を保っている社会が混乱すると思う
と答えた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




