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#2

シーカに手を引かれるがままに村まで降りてきてしまった。アランカ村は木製の柵に囲われており、入口と思われる門には鎧を纏った男が2人が燻げな目でこちらを見てくる。


「おい、シーカ。この男は誰だ」


「えっと、さっきあそこの木の下で会ったんだけど家族もおうちもないみたいなの。だから、私のおうちで暮らしてもらおうかなって…」


なるほど、シーカが思いついたのってこれか。だけど……


「ダメだ。身元もわからん輩に村に入る資格などない」


まあ身元不明のやつなんて入れてくれないよな。仕方ないから野宿して1夜を明かすか。


「だが、最近付近の村で亜人の手先……亜獣が活発に動いてるらしいから見過ごせねえ…村長と話して交渉してくるからちょいと待ってろ」


「ガインさんありがとう!」


そう言って、ガインと言われた男は小走りに去っていった。


「なあ、本当にいいのか?その、おれを泊めるっての」


「いいの!レイとお話するの楽しいから」


「でも親御さんとか……」


「お母さんはわたしが生まれてすぐ、お父さんはもう長い間帰ってきてないから大丈夫!」


「……そうか。野暮なこと聞いたな」


少しの沈黙のあと、ガインが戻ってきた。


「おう待たせたな。村長が了承出したから入っていいぞ…えっと」


「レイ。東雲レイだ」


「おう。覚えたぜ」


村に入ると武器屋や宿屋、食堂などもあり存外発展していて村人の顔には活気があった。


「アランカ村はね、グィネヴィア王国とアスラ帝国との間にあって、交易の要なんだよ。だから人以外にも獣族とかエルフもいるんだよ!」


辺境とはいってもそれなりに栄えてるのはそのせいか。そのまま歩くとかなり立派な一軒家の前でシーカが足を止めた。どうやら家に着いたらしい。


「おじゃましまーす」


1階はリビング、風呂場、キッチン、トイレがあり、シーカはすぐ晩御飯の準備をするためにキッチンへと向かった。

2階には客人用の部屋が4つと「シーカ」と書かれた立て札がかけられてる部屋と、おそらくシーカの父親のであろう書斎があった。レイは客人用の部屋の1つに入りベッドに横たわる。


「夢……じゃないよな。頬をつねっても痛いし、とりあえずどうやって生きていくかだな。ずっとここでお世話になるのも居心地が悪い。」


そんなことを考えていると眠気が襲ってきた。知らない土地にいきなり転移させられた影響だろうか。瞼が重い。




どれくらい眠っていただろう。窓の外は暗闇に包まれており、その中で松明のあかりだけが寂しそうに蠢いていた。大きく伸びをして、腹が減ったなと気づく。


「とりあえずシーカに頼んでみるか」


そう思い、扉を開けるとなにかにドアがぶつかる。下を見てみるとカレーと手紙が1つ「起きたら食べてください。食べ終えた食器は水につけておいてください」と。どうやら気配りもできるらしい


「ご馳走様でした。」


冷めてはいたが、やはりとても美味しかった。おそらくあのサンドイッチも彼女が作ったのだろう。そんなことを食器を片付けながら考えているとシーカが降りてきた。


「どうしたシーカ」


「う〜ん……トイレ」


「そうか。あ、カレー美味しかったぞ」


「あれはカルだよ〜お兄ちゃん」


なるほどこの世界では呼び方は違うのか。それにしてもお兄ちゃんだなんて……妹はいなかったからなんだか不思議な気分だ。


「じゃあ、おれはまた寝るとするよ。おやすみ」


「うん〜おやすみぃ」


眠そうな彼女を横目に2階へ上がり、そのまま目を閉じた


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