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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
二章 再会
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再会

亮は見事に東大理Ⅱに合格し薬学部4年大学院2年を終了し

研究員の道を進むことにした。

一方沙織は偏差値の関係で安全策を取って京都大学医学部に入った。


「京都に遊びに行きます」

「私も東京に戻ってきます」

亮はお互い勉強で忙しくなると判っていて

新幹線ホームで握手をして別れた。


それから亮は銀座の美宝堂でドアボーイをしていた。

美宝堂は知る人ぞ知る、貴金属、宝飾品、陶磁器、

高級服、バッグ、インテリアを扱う

高級品専門店で8階にはフランスレストラン「ローラン・ギャロス」があった。

「いらっしゃいませ」

「團君?」

亮がドアを開けると女性が声をかけてきた。


「はい」

「覚えていますか?沙織の友達の秋山良子です」

良子は深々と頭を下げた。

「あの時は色々ありがとうございました」

「沙織とはどうしているの?」

「お互い忙しくてほとんど連絡をしていません」

「そう、あのう此処で?」

良子が聞くと黒いスーツを着た亮は恥ずかしそうに笑った。


「アルバイトです」

「私たち今度大阪のUSJに行った時沙織と会おうって話をしていたんだ」


「だめよ、お客様とお話をしちゃあ」

黒のパンツスーツ姿の女性が亮に強く言った。

「すみません、知り合いの方で」

亮が謝ると美佐江は急に態度を変え良子に挨拶をした。


「お友達?」

「はい」

「いらっしゃいませ、亮の姉の美佐江です、どうぞよろしく」

「はじまして、秋山良子と申します」

「何かお探しですか?」

「ええ、クリスマスプレゼントをちょっと」

良子は急に笑顔になって良子を通した。


「そうでございますか。亮のお友達でしたらお値引きいたしますよ」

「ありがとうございます」

良子は嬉しそうに美佐江の後をついて行った。


~~~~~~~~~


良子はキビキビと仕事をしている美佐江を見て

緊張していた。

「弟とどういう関係ですか?ガールフレンド?」

「いいえ、まだそんな・・・」

「弟は奥手だから積極的に行かなければだめよ」

「はい、ご姉弟でここで働いていらっしゃるんですか?」

「うふふ、ここは親の会社です。二人ともアルバイト」

「お姉さんも?」

「はい、私は大学4年生」

良子は亮が金持ちの息子と知って微笑んだ。


「お姉さん、亮さんの事色々教えてください」

「良いわよ、ただあいつはかなり頭が良いから下手に利口ぶるより

 分からない事を何でも聞いたほうがいいわ」

「なるほど・・・、ありがとうございます」


~~~~~~~~~~~~~~~~


1時間くらいすると良子が小さな袋を持って出てきた。

「ありがとうございました」

亮が良子に頭を下げると美佐江は亮の横に立った。

「久しぶりなんでしょう、二人でお茶をしてらっしゃい」

「はい」

亮は密に連絡を取り合っている沙織の話が聞きたくて

喜んで良子と一緒に美宝堂を出て行った。

二人は近くのケーキ店に入ると亮は気になっていた事を聞いた。


「沙織さんの事で何か知っていますか?」

「ええ、京都大学病院の治療でずいぶんよくなったようですよ。

 それに好きな人が出来たそうです」

「えっ?」

好きな人が亮の顔色が変わった。


遠恋と言えない関係では沙織を縛って

おけない辛さが亮には有った。


「そうですか。そうですよね」

「はい、今度弓子とUSJに行くからその時に

彼を紹介してもらう事になっています」

亮は良子はそれ以上聞いたら聞きたくない話まで聞く事になるので

臆病になっていた。


「恋愛の話をするほど親しいんですね」

「ええ、高校は違ったけど家が近所で

中学からの親友ですから」

亮は沙織の事はそれ以上話題にできないでいると

良子は自分の話をし始め、時々言うブランドの話に

うなずき亮にとってはとても退屈な時間だった。


「ねえ、團君。沙織と行ったレストランは何処だったの?」

「8階のローラン・ギャロスです」

「本当、すごい。クリスマスの夜どうやって予約を取ったの?」

亮にとっては今は思い出したくない出来事だった。

「たまたま、キャンセルがあっただけです」

亮はうかつな事を言って今度のクリスマスに

良子に利用されてはたまらないと思って返事をした。


「ふーん、そうなんだ」

良子は何かを言いたげだった。

「では、また」

亮は伝票を持って立ち上がろうとすると

良子は亮を止めた。

「ああっ、團君。連絡先交換しよう」

「は、はい」

二人は連絡先を交換した。


亮の古文書の解読は順調に進んでいた。

正月過ぎに古文書が入っている桐箱の蓋が

ずれて倒れたとき変な音がした。

「ん?」

90cm×45cmの大きさの蓋の内側の板を叩くと

ビビリかんのある音がし

溝に桐の板がはめ込まれ、いじると

箱根細工のようにスライドし中から3冊の

團正志斎が書いた3冊の古文書が出てきた。


1冊目は漢方薬の製造法が細かく記されていた本で

その内容は、将軍の体調維持用、精力剤製造法。

2冊目は飲んでいるだけで女性が寄って来る究極の媚薬の

製造法の本。

3冊目は女性を喜ばせるテクニックと体位の本。

まだ女を知らない亮にとって3冊目は理解しがたいものだった


そんなある日亮は父親にその古文書の話をした。

「ほう、面白そうだな、その本は」

「ええ、ただ3冊目が・・・『目合ひ』であまり意味が分からないんです」

「そうか、亮はまだだったのか。あはは」

「あはは、って」

「まあ、好きな女が出来れば実践で来るだろう。がんばって解読しろ」

「はい」

「そうだ、飯を食いに行こう」


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