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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
一章 クリスマスイブ
3/132

クリスマス

「はい」

沙織は嬉しそうに返事をした。

「北川さん、そこ間違っていますよ」

「ええ、どこどこ?」

「答えは何故か合っているんですが、計算が間違っているんですよ

 これだと減点されますよ」

「本当?」

亮は優しく教えてあげた。


「ありがとうございます。團君、高校生じゃないみたい」

「えっ?ふけています?」

「ううん、教え方が分かりやすいから。先生みたい

私、文系希望だから数学苦手なのよね」


「ああ、そうか」

「ありがとう」

「いいえ、復習ちょうどいい」

亮はポツリと言った。

「じゃあ、英語は?」

「はい、普通に」


「この長文なんだけど・・・言い回しが複雑で」

沙織が例題を見せて辞書を持った。

「その辞書なら322ページの例を見れば分かります」

亮は小さな声で言った。

沙織がペラペラとめくると驚いて声を上げた。


「あっ、本当だ。どうしてページ数覚えているの」

「ああ、たまたまです」

亮は照れるように言った。

それから、毎日沙織は亮に勉強を教わって

二人は親しくなっていった。


「團君、クリスマス・イブどうするの?」

「ええと、クリスマス礼拝で教会へ行きます」

「えっ?團君クリスチャンなの?」

いつも古文の勉強をしている亮を見ていた沙織は不思議な感じがした。

「ええ、父の仕事上欧米人と付き合うにはキリスト教じゃなくちゃ難しいので、

子供の頃から日曜学校へ行っていました。


それに聖書の解釈が面白くてずっと読んでいるんです」

「そうか、じゃあだめか」

沙織ががっかりすると亮はどうして良いか分からなかった。

「ねえ、團君。どうして彼女いないの?かっこいいのに・・・」

「面倒くさいからかな」


「ええ?だって健康な男性なら女性に興味持つでしょう」

「ええ、まあ」

「團君、暗いよ。それじゃもてないよ」

「そうですか」

亮にとってはそんな事はどうでも良かった。


「私の事、嫌い?」

「いいえ、別に・・・・」

亮は口の中でモゾモゾと言った。

「元気ないぞ、團亮」

亮は沙織のサラサラした綺麗な黒髪とそれから臭う甘い匂いで

心臓をドキドキさせ思い切って声を出した。

「イブの夜、一緒に食事しませんか?」

亮の小さな声を聞くと沙織はもう一度聞き直した。


「本当?」

「1番上の姉は留学中で帰ってこないし、2番目の姉はどこかのクリスマスパーティがあるし

 父と母は仕事関係のパーティだし、受験生の僕は一人ぼっちなんです」

「うん、うふふ」

沙織は天にも昇る気持ちでニコッと笑った。

そして沙織は亮と別れると信子と良子に伝えた。


~~~~~~~~


家に帰った亮は久美に話しかけた。

「お母さん、イブの夜女の子と食事したいんだけど」

「えっ、本当。やっとお前も」

久美は亮を抱きしめた。

「どうしよう、どうしたらいい」

久美は慌てていた。


「そうだ、お父さんに電話しなきゃ、ホテルも予約して」

「お母さん、何言っているの。ホテルって」

亮は冷たく言った。

「だって、クリスマスの夜は。うふふ」

久美はそう言って恥ずかしそうに自分の顔を両手で隠した。


「僕まだ高校生だよ、彼女だって知りあったばかりだし」

「そうか、そうよね。相手の両親に挨拶していなし」

「違うって、食事何処でしよう?ファミレスって言うわけには行かないし」

「うんうん、フランス料理のローラン・ギャロスは?」

「予約でいっぱいだよ。きっと」

「ちょっと待っていて」


久美は夫の秀樹に電話をかけた。

「あなた、亮がクリスマス・イブに女の子とデートするそうなの」

「何!本当か?」

「ええ、それで食事をする場所何とかならないかしら?」

「わかったローラン・ギャロスの席を空ける」

「大丈夫?予約でいっぱいでしょう」

「なあに、オーナーの俺の命令だ、テーブルと椅子を

どこかの隙間に入れればいい」


「うふふ、強引ね」

「そうだ、ホテルも予約しなくちゃいけないな」

「だめよ、亮にはまだ早いわ」

久美は亮に言われた事をいった。

「そうか、俺の初体験は高校2年だったぞ」

「ん?誰と?」

久美の声が厳しくなった。

「ばか、17歳の時の話をするな、亮の件は大丈夫だ」

秀樹は慌てて電話を切った。


「亮、お父さんがローラン・ギャロス何とかしてくれるって」

久美は優しく笑った。

「ありがとうお母さん」

「亮、彼女に何かクリスマスプレゼント買わなくちゃね」

「お母さん、プレゼントは何が良いだろう?」

「千沙子に聞いてみれば、年齢が近いから」

「うーん、雰囲気が違うような気がする」


翌朝亮が千沙子に聞いた。

「姉さん、クリスマスプレゼント何が良い?」

「ええ?私にくれるの?」


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