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リトライチケット  作者: アクイラ(((・・;)
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第五フロアは救いが少ない件について   〜 龍虎 〜



   【キャンドルシティ】



「ドラ!」

 

 ドラゴンとの再会を果たしたレイン。

 だが親友の顔には疲労感が滲み出し、その手はシノブの愛刀が握られていた。


「嘘、だろ?」


 それが何を意味しているのか理解したレインは、この場にいないシノブの存在と喪失感が漂うドラゴンの顔から事態を把握。

 だが、シノブという存在は彼らにとって簡単に割り切れる存在ではない。


「なぁレイン。俺は決めたぞ」

「あぁ。俺もだよ」


 崩壊が近づいてくる中、心も体もボロボロになった2人はその歩みを揃え、第4フロア『クワトロキングダム』を目指す。

 彼らも馬鹿ではない。

 感情に身を任せて第5フロアを目指すことはなく、第4フロアにて戦力増強を図る。

 

「『謎の鍵』の羊皮紙だ。莫大な金額を注ぎ込めば出てくる仕組みだがシノブがこれを残してくれたからな」


 取り出したのは『ROLAND商会の紹介状』。

 ROLAND商会のものであれば、その購入金額を100分の1にまで減らせるレアアイテム。

 それにより記されている金額が変動し桁が2つ減る。

 そこまで言われれば後はレインの【スキル】による強引な攻略だった。所持金全てを投じて【スキル】によって巻き戻す。この繰り返しで目標金額に到達した彼らは念願の6本目の『謎の鍵』を入手した。


「お前は《吸血姫》の方を持っておけ」

「いいのか?」

「ある程度名前から推察できるほうが、お前にはいいだろ?んじゃ俺は『白虎庵』、レインは『青龍館』。目的達成後、第5フロア『ドリームエデン』に集合でいいか?」

「あぁ」

「じゃ、また後でな」





   【クアトロキングダム】



「随分久しぶりに来た気がする」


 プレイヤー最上位の実力者である《十傑》が4人も命を落としたこの第4フロア。

 一騎当千の彼らの犠牲なしにはここまで到達することは不可能だと断言できるほどに過酷な修羅場を越えてきたレインは思いを馳せる。

 寄り道ともいえる第4フロア『クアトロキングダム』へ来たのには可能な限りの戦力増強。このフロアにはソラの【特殊武器:朱雀緋翼ヴァーミリオン】や《黒龍》の【特殊武器:黒曜甲殻アンブレイカブル】のような強力無比の装備だ。

 『青龍館』に到着したレイン。

 《迷宮》との戦闘の跡が生々しく残り、当時の記憶が蘇る。


「あった」


 前回はソラ達の介入もあり入手できなかった秘宝。

 それは国王を待っていたかのように鎮座していた。

  

「【特殊武器:蒼龍外套アズールヴェール】。装備中は状態異常無効化と硬化。盾にも使えるのか」


 攻撃手段が【特殊武器:大罪の指輪】で多彩なレインだが単純な防御手段はなかったため、選択肢が増えたことに変わりない。

 そして秘宝を手にしたレインは急いで第5フロアを目指そうとし

た足が止まる。秘宝を与えるに相応しい相手を試すかのように10体の鎧騎士が出現し斬りかかる。

 だが。


「邪魔するな」


 地面に手をつき、最大出力で展開された影の剣山が容赦なく鎧騎士を貫き消滅させた。

 レインを含めた最前線を走り抜けていたメンバーはNPC程度では障害にならない。ましてやスタートを揃えての用意ドンとなれば負ける要素すらない。

 レインは【特殊武器:蒼龍外套】を装備し、第5フロアへと向かう。




   【ドリームエデン】



「ドラはまだか」


 一足先に扉の前に到着したレイン。

 周囲を見渡しているとレインの登場にフロアがソワソワし始めている。彼の登場は『謎の鍵』を持ってきてくれたという他力本願の眼差しで埋め尽くされていた。

 

「ドラ、待ってるからな」


 同じ文章をメールで飛ばし、鍵を捻る。


    《BOSSイベント:無限の回復》


    『紅城』に君臨する《吸血姫》を倒せ!

 

  ※参加人数  無制限

  ※支給物資  体力ポーション(極)

         MPポーション(極)

  ※ボスのいるフロア内以外での転移系の【スキル】や

   アイテムは発動しません。

  ※《BOSS》討伐後、第6フロアへの入場券1枚がドロップ。

  

      クエストを解放しますか?


     はい   or   いいえ


 レインに躊躇いはなかった。

 『死』に対して麻痺してしまったわけではない。むしろ身近な存在を失ってしまったことで。より鮮明になった死に対して恐怖を上回る勢いで、別の感情が押し寄せていた。

 その感情を殺し、扉を開ける。

 

〈待ちくたびれたわぁ♡〉


 フィールドは荒廃した城。シャドウウォーカーと似たような風景が広がっているが、この部屋の主は厳格な雰囲気のシャドウウォーカーとは真逆。

 怠惰。

 あくびをしながら寝そべり、妖艶さを撒き散らす《吸血姫》というよりは、どこか淫魔サキュバスの香りを漂わせていた。

 ネグリジェのような衣装に身を包んではいるものの、体をゴロゴロする度に崩れる衣装から垣間見える肌。


「「「うぉぉぉおおおおーーー!!!」」」


 レインの他に入ってきたプレイヤー(主に男性陣)が歓喜の声を上げる。

 だがその声が熱を帯びたものから狂気じみたものへと変貌する。

 

(まさか)


〈あらぁ?あなたは効かないの?〉


 《吸血姫》が怪訝そうな顔をする中、レインは1人のプレイヤーの元に駆け寄り、


「【回帰リトライ】」

〈面倒くさいわねぇ♡〉

「騙されたよ。やる気ないように見えてたのに状態異常を引き起こす香りを散布してたんだな」

〈この世の男はみーんな私の奴隷になるの♡だって私は姫だから♡〉


(運が良かった。【蒼龍外套】が状態異常を打ち消してくれてるおかげで助かってる。《吸血姫》自体の攻撃が来てからが本番だな)




    【ドリームエデン】


 レインが《BOSS》に挑み始めたのと入れ違いになるように最後の扉の前に辿り着いたドラゴン。

 間髪入れずに鍵を差し込むと出現するクエスト名。



    《BOSSイベント:無限の蠱毒》


    『???』に君臨する《???》を倒せ!

 

  ※参加人数  無制限

  ※支給物資  なし

  ※ボスのいるフロア内以外での転移系の【スキル】や

   アイテムは発動しません。

  ※《BOSS》討伐後、第6フロアへの入場券1枚がドロップ。

  

      クエストを解放しますか?


     はい   or   いいえ

  


「何だこれ?」


(《BOSS》の特性もない。支給アイテムもない。それどころか)


「扉が無くなってやがる」

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