第五フロアは救いが少ない件について 〜 1人じゃない 〜
【プラットホーム】
YAIBA、シルファが《BOSS》との死闘を繰り広げている中、別働隊のシノブとドラゴンは最後の『謎の鍵』を探すべく散策。
「目星はあんのか?」
「・・・可能性があるとすればこの第2フロア『プラットホーム』か第3フロア『キャンドルシティ』か第5フロア『ドリームエデン』だと思う」
「その心は?」
「第1フロアではレインが2本、第4フロアはソラとシルファが手に入れたって話してたから。・・・あとは《熾天使》がどこのフロアで見つけたかだけど」
「流石にそこを見る余裕なかったな。今から戻る余裕もないから崩壊し切る前に『プラットホーム』に向かうか」
崩壊が始まりだした第2フロアでの滞在時間は精々2時間程度。
その中でクエストをクリアし目当ての報酬を手に入れられるかは運次第。
「それにこの鍵の《BOSS》だって簡単に勝てると思わない。《吸血姫》か《適応獅子》だろ?」
「・・・説明見た限りでは『無尽蔵に回復する』と『対応力』を問われるもの。・・・鍵、【EXA】、そして自身の強化。・・・私達だけでこれを達成するとなると人手が足りない。・・・【叡智の書】でもあれば」
「ユーリちゃんは《智天使》に憑依されてたし、その後の行方は・・・もしかしてレインが持ってたりするか?」
「・・・アリアが持ってた【聖剣】はシルファが受け継いでたから可能性はある。・・・じゃあレインは2つの【EXA】所有者か」
(・・・多分、普通じゃ見つからない場所)
レインやシルファが、最初のクエストクリアや《BOSS》の打倒で獲得した『謎の鍵』。
崩壊が進む第2フロアにおける最適解。
「・・・ドラ、第3フロアに向かって先に探して。・・・私ならすぐ追いつけるでしょ?」
「必ず戻れよ」
「・・・死ぬつもりはないよ」
シノブは【特殊武器:春雷】を手にし、【スキル:神速】で戦場を駆けていく。
その時、ドラゴンの中で何か不安が膨らむ感覚があった。
まるでもう彼女と会えなくなるような不吉な。
【キャンドルシティ】
その感覚はフロアを移動しても変わらなかった。
纏わりつく嫌な感覚がどうしても拭えない。
「戻ったほうがいいか」
ここで戻っても意味がないと理性がブレーキを掛ける。
例え彼女が戻れなかったとしても、自分は『謎の鍵』を手に入れ生存しなくてはならない。
「【スキル:魔弾】起動」
装束を纏い、副産物である【スキル:鷹の目】を使用して三次元から物体を探す。
(どこにあんだよ)
建物の中? 瓦礫の影?
街頭の下?
屋上の隅?
NPCの持ち物
未踏破のクエスト報酬?
既に誰かが持ってる?
ドラゴンの頭の中で思考が加速する。
候補地を想像し、消去法を用いて選択から外す。
机上の空論。
架空の話を現実まで持ち込むためには、材料が足らずの予想を織り込ませて現実へと繋ぐしかない。
「・・・・・」
(俺がゲームマスターならどこに配置する?今までのクエスト報酬のみだった鍵がどこかに落ちてるってのはありない。残ってるクエストから当てずっぽうで当てる?非現実的だ。片っ端からやるには時間も人数も足りない。それこそNPCの情報を早い段階から集めていた奴でもいれば話は・・・)
「いた」
ドラゴンは急いでアイコンを操作する。
彼が行った行動は2人の人物への連絡する。
片方は確信があったとしても、もう1人は生きている確証がない。だからこその願いを込めて連絡を待つ彼の行動は奇跡を連れてくる。
返ってきた2つのメールにはたった一言。
ーーー『任せて!』
それはドラゴンに再び笑みを浮かべさせるには十分なものだった。




