第六フロアは未確定について 〜 第一到達者 〜
【無月】
〈ようやく逢えたな〉
第6フロア『無月』に降り立った《熾天使》。
《呪珠樹》の核を砕き、転送された先は簡素なものだった。
巨大な神殿でもくり抜いたかのように柱が周囲を囲み、その奥の玉座にフードの人物が鎮座する。
「あなたが一番手ですか」
〈不服とは言うまいな〉
合図はない。
完全な不意打ちで最速の【スキル∶銃炎】が放たれる。
彼にとって不意打ちは卑怯などとは思わず、むしろ敵の意表を突くための手段として最適なものと認識されている。
「【スキル∶虹彩障壁】」
フードの人物は焦る様子も見せずに空気を撫でる。
すると虹色の障壁が7枚形成され、【銃炎】を弾く。
〈硬いな〉
「様式美としては他のプレイヤーを待つところなのでしょうが、もはやバグとなりつつある貴方を放っておくと何をするか分かりません。なので他が揃う前に早めに対処しましょうか」
(なるほど。あの障壁を砕かぬ限り攻撃が通らないというわけか。1枚や2枚なら造作もないが)
《熾天使》は強かに打算を始めていた。
フードの人物は障壁を展開しただけに過ぎない。
だが《熾天使》はどこかで感じていた。
ーーー自分では勝てないと。
だからこそ、彼は1つの選択をした。
「へぇ」
常に纏っている焔を極限まで薄く張り、だらりと脱力。
それは見様見真似ではあるものの、たしかにYAIBAが習得した【スキル∶流水】だった。
彼が選んだのは決死の覚悟ではない。
生きて、足掻いて、同胞の命を弄んだものへの復讐。
そして、その想いが奇跡を引き起こす。
【新《称号》について】
《称号:堕天》の獲得条件を満たしたプレイヤーが誕生しました。




