表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
穀潰しと言われた聖女は自給自足する   作者: ハバネロあんこ
8/67

友人の心

不思議なこともあるものだとリモネルは首を捻る。

すると三体も「ぷもも」と首をちょこりと捻る。

「ふふふっまた真似をして、ふふ、あはははっ」




邪魔だ役立たずと罵られ追い出された元聖女。

孤独に砂漠で生きるはずの小娘が、大笑いして愉快に過ごしてるなんて誰が想像できただろう。

干乾びて哀れな屍にとなら容易く想像は出来るだろうが。


「メイドさんが出来ました、そうするとマールとゴッツは騎士様かな?」冗談のつもりで言う。

するとマールとゴッツが片膝をついて頭を垂れた。

「ええ!?ちょっと待って待って。あのね、あなた達は従者でも護衛でもないのよ、

お友達なのよ?サンディもメイドなんてしなくて良いのよ」


理解が出来ないのか3体はじっと私を見るばかりだ。


「そもそも無機質な物体なはずなのよね、そりゃ大切な友達なんだけど」

まるで心を宿したかのような3人に戸惑いを隠せない。


遠い異国の書物に、長く使い込んだ道具や人形には心が宿るのだという夢物語を読んだが、あくまで架空だろう。

物を大切に使えという戒めを込めた作品だった。


(この子達とは2日しか一緒にいないのだし無理があるわ)


「狼狽えてもしかたないわねぇ試してみましょうか」リモネルはため息をついた。

「んんっ、呼んだら手を上げてね、マール!」

クイッと丸い頭のマールが嬉しそうに手を上げた。


「ゴッツ!」

一番大きく厳つい体型のゴッツが天を突くかのように手を上げた。


「サンディ!」

ふわりと女性らしい所作で手を上げた。


「なんてことかしら!まるで自我があるようだわ。名前をちゃんと認識してるし・・・」

喜怒哀楽が彼らにあるのかは甚だ疑わしいが、そう思わずにいられない。

(笑う表情に関しては真似ていると思うのよね、仕草も真似てるし)





うんうん、悩みつつサンディの作ったサンドイッチを味わってみた。

城で出された味にソックリ再現されてる気がする。

「ひょっとして私の思考や記憶が繁栄されてるのかしらね?」


この考えがシックリした、細かい所を突っ込まなければ・・・・

この子達を創造したのは自分なのだから、私という人間に連動しているのかもしれない。

リモネルはそう片づけるしかなかった。


「クスッ、友達というより子供のようね

私の魔力と想像で具現化した彼らが家族のように思えてきたわ」


クスクス笑う私を真似てか、3人も笑うそぶりを見せた。

なんて幸せな朝なのだろうと、リモネルは心が温かくなった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ