身の振り方って言われました
メニアシトラ王国の双子聖女
絢爛豪華な謁見の間。
無駄に金と銀をふんだん使われた装飾が、ギラギラして悪趣味だった。
国力はあまりないくせに見栄を張り過ぎだと思う。
目に刺さるこの場が嫌いで頭を垂れつつ目を瞑った。
「聖女リモネル、面をあげよ」
嫌です、目が潰れる!
「リモネル!?」
「・・・はい」
目を薄ら開けて玉座のメタボのオッサン(国王)へ苦笑いを向けた。
「もう少し愛想よく出来んのか?其方はただでさえ目つきが悪いというのに」
「ふ、仕方ありません、父上。今更でございましょう?」
私の斜め前方に踏ん反りかえる派手な衣装を着飾った王子が、気障ったらしい態度で嫌味を追加した。
「もうしわけございません、私の姉が不愉快な態度を」
デッカイ目をウルウルさせて、双子の妹オランジェルが王子にしな垂れかかる。
デカイつうか出目金だけど。
「まぁ良い、そなたの耳にも噂は届いていよう、アホガルド王子は王太子になりオランジェルと婚約をした」
共に召喚された妹が王族側に立っている理由を(あぁそういう事か)と理解した。
「おめでとうございます、王太子様、オランジェ」
「ふふ、ありがとう姉さん」
妹は勝ち誇った笑みで返す、アホの腕に絡みつき歪んだハートを撒き散らしている。
幸せなはずが、なんか痛々しい・・・。
「あ!ほらその目!気を付けて、ほんと目つき悪いわ!」
「あぁ、ごめんなさい」
いけない、いけない。
私は目を指先でぐるぐるマッサージした。
書物を読み過ぎて視力がまた低下したようだ、後で回復魔法をかけよう。
私達双子は全く似ていない、丸顔で目が大きな妹に対し面長で目がつり気味の姉。
どちらも聖女として侯爵家で生を受けた。
生まれてすぐ、姉妹の周りに精霊が達が飛び交い周囲を驚かせた。
産褥室が光に溢れ数日の間煌めいた「精霊の祝福」を授かった双子は国の宝として
侯爵家ではなく、城で育まれることになった。
故に私たちは両親達と気安く会えること無く育ち、今日の成人の日を迎えたのだった。
咳ばらいをして陛下が言葉を吐いた。
「王子たちは婚姻が決まり其方も成人した、そろそろ身の振り方を決めてもらおうと思ってな」
「は?」
身の振り方?
自分は生まれてからずっと聖女として貢献してきた、これからもそうだと思っていたんだが?
「姉さん、鈍いわねぇ。妹聖女と王子が結婚するのよ?あなたは余ったの」
「そうだ、私は見目麗しく優しい瞳のオランジェを選んだ、わかるだろう?」
いや、わかんない。
わからないですって!