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最後の宴を  作者: 櫻坂暖依留
第2章
9/10

さあ、任務へ!


「そこよ!あいつよ!捕まえてぇ!」


 俺は逃げ回るもののけを捕まえる。


 そして心臓(コア)を砕いた。


 「ありがとうねぇ。若いのによくやるねぇ!」


 俺達は初任務に来ていた。

 場所は小さな村。

 そこにもののけが忍んでいるという情報提供の元、俺達はやってきた。


 「あいつ、ほんとにもののけだったのねぇ。」


 この村では数人がいなくなっているという事件が起きていた。

全員見つかっているが、お亡くなりになられていた。

 犯人はこのもののけだったのだったのだろう。

 人間に紛れて生活していたみたいだ。

 実際、そのケースは少なくない。


 「だってねぇ?あいつ、前に足元に斧を落としたのよぉ?もちろん刃が下向きでぇ。なのに、傷1つつかなかったんだからびっくりよねぇ!」


 情報提供をしてくれたおばさんがそう言う。


 「これで村は少しは平穏になると思いますよ。情報提供ありがとうございました。」 


 「いいやこちらこそ。ありがとうねぇ!」


 俺は祈祷とカエラの元に向かった。


 「どうだったか?」


 「避難誘導バッチリ!まぁそこまで避難させる人もいなかったし。」


 「怪我人はゼロよ。」


 あっさりと終わってしまった初任務はどこかつまらないと思ってしまったのも事実だった。


 

 

 

    ◇◇◇


 

 

 

 「なーんかつまんなかったな。」


 任務からの帰り道、祈祷が口を開いた。

 人っ子一人いないこの道は俺たちの心情を表しているように思える。


 「それは、まぁ。でも初任務だし。」


 「私達みたいな新米にそんな手応えのある任務が来るわけないじゃない。」


 そんな事があるのは物語上だけよ。

 そう辛口でカエラが言う。

 その通りです。


 「クルッポー!」


 そんな話をしていると、伝書鳩がきた。

 魔法を使えるとはいえ、こういう所は人力ならぬ鳩力。

 鳩の足にくくりつけられている手紙を受け取る。

 新たな任務のお知らせだった。


 「ありがとう。」


 「クルッポー!」


 「ありがとうね。」


 「クルッポッポポー!!!!!」


 女ずきらしい。

 伝書鳩は飛び立って行ってしまった。


 「んで?なんて書いてあるんだ?」


 「ああ、えっと……。」


 俺は先程受け取った手紙を開く。


 「シャンゼリス通りで人が消えている。調査しろだって。」


 「人が消えているかぁ。さっきの村とほとんど変わんないなー。」


 「大体の任務って人が消えているから起こるんじゃないの。言い方は悪いけど当たり前です。」


 「まぁそーなんだけどぉ。なーんかのらないと言うかぁ。」


 「祈祷、分かるよ。」


 カエラに睨まれる。


 「「あは、あははははは……すみません。」」


 「わかればよろしい。」


 「とりあえずそこに向かうか。」


 「おう!って言いたいんだけどさ?シャンゼリス通りってどんなとこなんだ?」


 「さぁ?見たことないから。」


 「え。」


 カエラが驚愕している。


 「まって。2人とも名前くらいは聞いたこと……?」


 「「ない。」」


 「……!?」


 この中で1番地域とか名所とかを知っているのはカエラだ。

 俺は記憶を失っているし、田舎育ちだ。

 祈祷はあまり外には出れない家庭らしい。

 大抵こういうことの説明役はカエラに回る。


 「シャンゼリス通りってところは、この国1番の大通り。とてもオシャレで色んなお店が立ち並ぶところ。道にはゴミひとつ落ちてないほんとに綺麗なところ。」


 「めっちゃ行ってみたい!」


 「これから行けるよ。」


 「楽しみすぎなんだが!」


 「そうだけど、私、不思議に思ってる点があるの。」


 「何?」


 「シャンゼリス通りは国内有数の観光名所でもののけへの警備も厳しいと有名な所。強力な結界がはられてあるの。」


 「そんな場所でもののけが……?」


 「訳ありだな。」


 俺たち新人が受けていいのだろうか。

 まぁもう決定だろうし少し骨の折れそうな任務にワクワクしてしまっている自分がいた。


 

 

 

    ◇◇◇



  

 

 次の日、俺達一行はシャンゼリス通りへと到着する。


 

 「うっわわわわわわわ!!!やっばやっばすっげー!!」


 「祈祷!語彙力はどこいった!?」


 「そんなもん、空に飛んでったわー!」


 次の日、シャンゼリス通りに着いた俺たちは興奮している。

 特に祈祷が。

 カエラは顔に出てないので分からない。


 シャンゼリス通りは、太陽が眩しいからかキラキラと輝いて見えて、人々がとても楽しそう。

 世界が違って見えた。


 「その興奮落ち着いたら、調査するわよ。」


 カエラがそうしきる。

 そんな時、


 「ちょっと君たち、そこで何してる。」


 「え?」


 ふいに後ろから声をかけられた。

 振り向くと警備員らしき人がいた。


 「君たち、魔法兵士だろ。ちょっと事務所までこい。」


 「なんでですか。何もしてませんけど。」


 「無理だ。ここの規定を知らないのか。」


 「「知りません。」」


 俺と祈祷は口を揃えて言う。


 「ちょ、2人とも!」


 「なんだこいつら!とりあえず事務所に行くぞ!」



 

 

    ◇◇◇


 

 

 

 俺たち3人は謎の警備員に引きずられ事務所に来た。

 事務所はシャンゼリス通りとは打って変わって、とてもひっそりと、そしてなんかジメジメしたところに立っており、プレハブでできていた。

 事務所に入るなり、というか無理やり入れさせられるという表現が正しいくらいに乱暴に部屋に放り投げられるなり、


 「シャンゼリス通りは魔法兵士は入れない事を知らないのか?」


 そう怒られる。

 俺と祈祷は声を揃えて、


 「「はい。」」


 尻もちをつきながらそう言った。


 「お前ら馬鹿なのか?」


 「すみません。2人ともちょっとはさ……!」


 「はぁ……。こんな輩が魔法兵士とは呆れるな。」


 そう言って、用があるのか奥の方へ入っていった。


 「なぁ、なんで魔法兵士はシャンゼリス通りに入れないんだ?」


 「確かに、なんでだ?」


 俺と祈祷は悩み出す。

 その様子をカエラは呆れたように見ていた。


 「……。シャンゼリス通りすら知らなかった2人には自分で理解することは出来ない、か……。」


 「ヒントちょーだい?」


 「わかった。まず初めに。ここは対もののけ用の強力な結界が張ってあることは前に話したのは覚えてる?」


 「ああ。それに関して不思議がってたよな。カエラは。」


 「そう。その結界というのは他の場所にもはってある。とても重要な場所に。例えば天皇の家の周りとか。」


 「それで?」


 「ヒントまだいるの?そんな重要な場所にもはってある結界。だから安全でなければならない。証明されてなければならない。」


 「あ、あ、だ、だからか!」


 「そ、ソルト!わかっちゃったのか?俺を置いてくなよ!」


 「ソルト、その先説明。」


 「そんな安全な結界の中に俺たちが入ると安全では無いというそういう表向きだけの認識になってしまう。まぁ多分天皇の家の周りに結界がはってあっても中に魔法兵士はいるだろうけど。」


 「要するに、シャンゼリス通りは結界が安全だという象徴を作り、見せるための場所ってことか?」


 「まぁそういう事。だよな?カエラ。」


 「うん。あってる。付け加えると、ここに結界がはられてから1度ももののけ絡みの事件は起きてない。今回を除けば。」


 とりあえずなんかめんどくさい場所という事がわかった。


 「てかカエラ、シャンゼリス通りには魔法兵士は入れないってこと知ってたなら教えてくれれば良かったのに。」


 「あ、そーだぞ!ひでぇ。」


 「言うの忘れてたのは悪かったわよ……。……でも事務所に行く予定だったし……。」


 そうカエラがボソボソと言い訳混じりに謝罪する。

 ツンデレと言えばいいのか、負けず嫌いと言えばいいのか。

 変なところでよく分からない性格がでる。


 「兄さん!魔法兵士の方を叱りつけたって言ってたけどほんとかい!?」


 そう話していると、急にバタバタと音がした。

 したかと思えば人がドアから入ってきた。


 「な、なあ、あの人、あの人に似てない……?」


 祈祷がヒソヒソと耳打ちしてくる。

 確かに。


 「あぁん?あったりめーだろ??ルールを犯してるんだ。叱るのは当然だ。」


 「今回は別だ!兄さん。このシャンゼリス通りにもののけが出たって話しただろ??応援を要請したんだよ!前話しただろ???」


 先程奥に入ってった警備員と外殻入ってきた警備員らしき人が口論をしている。


 「俺、もうどっちがどっちかわかんないや。」


 それくらい似ていた。

第2章のはじまりです!

※シャンゼリス通りはあの有名な通りをイメージしてください!

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