時の移ろい
「おはよう!ソルト。」
「おはよう。祈祷。」
同じ部屋の祈祷に挨拶をする。
祈祷は俺がはじめてここでできた友達だ。
霊媒の一族で、名前が漢字だ。
ここ、シルド学園は全寮制だ。
あれから約2年、ここで学び訓練をしている。
2年経てば卒業試験を受けることが可能になる。
合格すればはれて魔法兵士になれるが、不合格なら卒業できずに次の機会まで残留だ。
そして、ルドーさんとは文通をしていて3ヶ月に一度は帰っている。
いつも笑顔で「おかえり」と言ってくれるから幸せだ。
息子でもなんでもないのに。
言ってしまえばただの居候だったのに。
ルドーさんには感謝しかない。
「ソルト〜?食堂いくぞ〜」
祈祷が俺を呼ぶ。
「あっ。いこう!」
お腹も空いているし。
朝ごはんだ。
◇◇◇
「ふっふっふ〜ん♪今日の朝はなんだろな〜♪」
祈祷が上機嫌にそう言った。
食堂につき食事の乗っているトレイをもらう。
メニューはご飯と味噌汁と焼き鮭ときゅうりの漬物だった。
ちなみに、祈祷はきゅうりが苦手でメニューを見てから終始しなっていた。(ちゃんと食べたことは偉いと思う)
◇◇◇
「今日は、どうする?一応休日だし特に課題は出てないけど。」
祈祷が聞く。
「訓練場で訓練しないか?相手になってほしい。卒業試験まで1ヶ月きったし。」
「あぁ。もちろん」
俺達は訓練場に向かう。
「しっかしソルトは真面目だなぁ。せっかくの休日だしもっとゆっくりしてうあっっっ!!!さっっっむ!!」
祈祷が訓練場のドアを開けた瞬間、凄まじい冷気が俺たちを襲った。
「はぁ、はぁ…」
「お前!寒いんだよ!てかなんでそんな汗だくなんだ!はぁはぁしてんじゃないよ!ちょっとは休めよカエラ!」
「!!祈祷!うるさい!訓練してんだから仕方ないでしょう?」
冷気の正体はカエラが魔法を使っていたらしい。
氷結の魔を持っている。
カエラと俺達はあるきっかけで仲良く(?)なった。
カエラは宿っている魔の量が多いとされている白身だ。
実際多い。
また右眼に眼帯を着けている。
「まぁまぁまぁ。」
俺は二人の言い合いを止めるように間に入った。
「俺達も訓練しようと思って来たんだ。」
「そうなの?……まぁここに来てるってことはそういうことよね…。」
祈祷とカエラの言い合いはひとまず収まった。
「俺らも訓練始めるか。祈祷。」
「あぁ。やろう。」
「私は少し休憩する。頑張って。」
俺と祈祷は移動をしようとした。
だが、
「あれ?なんか揺れなかったか?」
不意に俺は感じた。
「?そうか?あっ!わかったぞ?やっぱり訓練したくなくなってそう言い出したな?ソルト。」
「馬鹿じゃないの?流石にソルトはそういう性格してない。そんなこと言い出すのは大抵祈祷の方じゃない。でも私も揺れは感じた。」
「だよなカエラ。何か起こっているのかもしれないな……。大丈夫だろうか」
その瞬間、
「「「!?!?!?!?!?」」」
「揺れた……。」
全員にわかるくらい。
さっきよりも大きな揺れが俺達を襲った。
「ヤバそうじゃね……?」
『大変だ!!!もっ…もののけが結界を壊して入ってきてぞ!!!!』
やっと少し進みます