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白き月妻訪ねたし黄泉の国
平成二四年十一月
以来、淋しさから脱しきれない。
俳句を詠もうとしても思いが先走りして五、七、五に纏まらない。
今日も外国の友人から、
「生離死別は人の常。いつまでもウジついているのではない!」
と叱られた。
「古事記」のイザナギ、イザナミの話を思い出す。
イザナミは「火の神」を出産して、その炎に包まれて大火傷。
それが基で死者の住む黄泉の国に旅立ったという。
イザナギは悲しみに沈み、遂に黄泉の国の岩屋にたどり着くと「一緒に帰ろう!」と大声で叫ぶ。
その声にイザナミは「どうしてもっと早く来てくれなかったの」と詰りながらも、少し待ってくれと答えたのだが待ち切れず、イザナギは暗闇の奥に進み、変わり果てたイザナミを見てしまう。
怒ったイザナミは雷獣、黄泉醜女を伴ってイザナギを殺そうと追ってくる。
それでも私は黄泉の国に訪ねて行きたい。