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雨垂れのプレリュード 聞く五月闇
平成二十二年七月
雨垂れ……東京に住んでいる頃は、意識したことがなかった。
コンクリートとガラスで仕切られたマンションだったからではないだろうか。
今はグループ・ホーム。ケチつけようという気持ちは全くないが、なぜか、雨音がよく聞こえるということなのだ。
ピアノ演奏を志す人は、まずショパンの「雨垂れ」を弾く。
私はいつも思うのだが、楽器を演奏できる人が羨ましい。
人との和を築くことができる。無論、国境を越えて心を開くことだって可能だ。
老人ホームの慰問演奏は大切な行事の一つになっているようだ。老人特有な刺々しさや、苛々を一時的にでも解放することができる。
確かに金銭的な不安、家族間の仲違い等々あるに違いない。
老人といえば幼児戻りの「チイチイパッパ」みたいな唱歌も結構だが、昔聞いていた歌謡曲、ポップスなど、かえって心が安らぐのではないだろうか。