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万緑を研ぎ洗いたる夜半の雨
平成十二年九月
読み返してみても自分の句には思えない。
小綺麗過ぎるからだ。
初めての句会の時、先輩諸氏が「シンリョウの・・・」と詠んでいるのに驚いた。
この会には医者が多いと思ったのだ。「新涼」を診療と思い込んでいた。いや、そんな季語すら知らなかった。
その席でわたしは、大ヘマをやらかした。
「先生、選句では自分の句を選んではいけないのですか?」
杏子先生は、咄嗟には質問の意味が判らなかったに違いない。理解を超える質問だったからだ。しばらく間があって「何故?」と言われた。
「わたしにとって一番良いと思える句だからです」
杏子先生の呆れ返った顔を今でも鮮明に覚えている。
国政選挙は自分に一票を入れることが出来る。わたしはなにかマズイ事を言ったのだろうか? 流石に今はそう思ってはいないのだが……。