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残照 ~俳句と人生、老いの旅~  作者: 松涛/編集:山鳥はむ
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野を焦がす華北の夕日沈みつつ

平成十六年五月



 ワンス アポン ナ タイム……



 ある王国に、お姫様がおりました。

 男達は皆、虜になってしまうほど魅力的な容姿だったのです。


 突然、異教徒が攻めてきました。

 村は焼かれ女は犯され、阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられ、生き残った人達は城の裏手に聳え立つ山脈に逃げました。


 燃えて燻る王宮を、幾度も、幾度も振り返り、周囲にせき立てられ、慣れぬ山道を逃げていったのです。

 やがて夕日が傾き、茜色に染まった空は何事もない如く限りなく拡がっていました。



 やがて海を渡り平和な国に流れ着き、何もかも失ったお姫様は、その地で、ごく平凡な男と、ごく平凡な結婚をしたのです。



 しかし、あのときの無理が祟ったのか、病魔に冒され「あの夕日を、もう一度見たかった」と、言っても詮無い凡庸な夫に呟きながら、亡くなったと聞きました。

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