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つぎはいつ君送る夜半沈丁花
平成十六年四月
誰と一緒だったの? いつ頃のこと?
「沼杏」の会が終わって酒の席に移ると、こんな質問が飛んできました。いつの頃だったか、さだかには思い出せない昔のこと。
車という文明の利器が、あまり普及していなかった時代。歩いて歩いて、ひたすら歩いてデートをした想い出です。
この町並みの角の花屋まで、あの街灯の端。そして結局さっき二人で降りた駅まで送ってもらったりして。
恋というのは素敵です
野越え山越え会いたいと
思う心の一念は
忘れてならない心です
堀口大学の詩を思い出します。
それが恋とも気付かずに、汗ばむほどに手をつなぎ、それで満足して家路につく。そんな昔のことでした。