神様、妹を転生させる
「さあ、今日から張り切って転生させるぞい!」
パソコンから異世界創造アプリを起動させ、ナヴィを部屋に召喚する。
「ゼオン様、今日は体調が良さそうですね」
「おうよ。昨日しっかり抜いて……ゲフンゲフン、いや、何でもない」
「? まあ、体調が戻ったのは何よりです」
ナヴィの説明を聞いた後、異世界アプリの「転生者候補」をクリックする。
10名ほどの名前が書かれたリストが並ぶ。
「思ったより、少ないんだな?」
「ゼオン様は初心者なので、比較的転生が楽な候補者がピックアップされたのだと思います」
「転生に、楽とか難しいとかあるのか?」
「性格に難がある候補者の場合、転生した途端、神様に反旗を翻したり、自殺したりします。他にも、転生先で最強にしろとか、チート能力をつけろとか、スマートフォンにこの機能を持たせろとか……無理難題を要求される場合があります」
(どこかで聞いたことがある話だな……)
「それで、転生者はどの方にしますか?」
リストに目を移す。
(男は嫌だな……どうせなら、可愛い女の子が良い)
突然翔平、の動きが止まる。
リストの最後に、見覚えがある名前を見つけたからだった。
「朝生、優夢……」
「お知合いですか?」
「……同姓同名? いや、でも……こんな珍しい名前、滅多にあるもんじゃない」
詳細をクリックする。
14年前に交通事故で死亡。
享年14歳。
家族構成、父:翔、母:莉夢、兄:翔平
「……」
「ゼオン様の妹様でしたか……」
「転生、できるのか?」
「もちろん、できますよ」
翔平は拳を握る。
……もう一度、妹に逢えるなら。
迷わずメニューを開き、転生ボタンをクリックした。
画面が輝き、転生の塔が映し出される。
そこには、3Dモデルになった優夢の姿があった。
「この転生の塔では、キャラクタークリエイトができますよ。転生者の容姿や職業、パラメーターなどが変更できます」
「優夢と言えばサイドポニーテールだな。髪の毛はオレンジ色で、元気がある感じ」
「ふむふむ……こんな感じですかね」
ナヴィの手が翔平のマウスを持つ手に重なる。
相変わらず柔らかな膨らみが背中にムニュムニュ当たるが、何とか耐え抜いた。
「良い感じだ。顔は変えない。後は……」
起伏が少ないツルペタボディを見て、翔平は悩む。
(優夢は貧乳だけど……巨乳も捨てがたい……)
未だ背中でムニュムニュしているおっぱいが、翔平を誘惑する。
「ええい、ままよ!」
欲望のままにバストのサイズを上げていく。
「ぶっ!」
バスト140cm、Zカップ。
服を突き破って、はみ出した肌色の膨らみに、翔平は思わず吹き出した。
すぐに元の大きさに修正する。
「……ごめん、こんなことを女の子に聞くのはマナー違反だと思うけど」
「はい、何でしょう?」
「ナヴィのおっぱい、何センチ?」
完全にセクハラだと気付いたのは、言った後だった。
ナヴィは顔を赤らめつつ、困ったように微笑む。
「100cmのKカップです……これでよろしいでしょうか?」
「ごめん……ありがとう、参考になった」
バストサイズを90cmのHカップに設定する。
ウエストとヒップのサイズを整え、優夢の身体は完成した。
「続いて、職業とパラメーターです。どうしますか?」
「回復役が良いかな……あいつ、保健委員だったし。ただ、運動神経は良いから、前線でも戦える感じで……よし、こんなところか」
「ではこれで設定完了ですね。転生を開始します」
画面が光り輝く。
光となった優夢の魂は、風に運ばれて異世界の空へと旅立っていった。