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 ぼくの隣に現れたのは平先輩だった。

「お疲れ様です」

「お疲れ」

 とりあえず挨拶を交わすが、会話は起こらない。そりゃまあ、部活中でもほとんど話したことはないからな。

 いつも平先輩は松前先輩の話しを聞いている。一方的に話し続ける松前先輩と、それを適当な相槌を打って過ごす平先輩。はたから見ていると仲の良い姉弟なのかと思えることがある。

「黒木くん」

 平先輩がおもむろに名を呼んだ。そんなこと今までなかったため焦った。

「えっ、あ、はい?」

 横目でなく顔を向けた。平先輩は凛と澄ましたままだった。

「文化祭の準備、ちゃんと手伝ってる?」

 ぼくは返答に窮した。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったため、というか会話がはじまるとは意外だったため、そもそもの返答の仕方を忘れてしまった。

「あっ、えーと……」

「私はサボタージュ」

 ぼくの返答は聞かずに先輩は話す。

「えっ、あ、そうなんですか?」

 平先輩は頷く。

「クラスではまだ準備をしてるけど、特に手伝うこともなかったから抜け出してきたわ」

 凛としながらもその声は幼げなものだった。それは演技とかではなく、体質だった。そのギャップに最初のころは驚かされたが、そんな驚きも既にない。

「ねえ、黒木くん」

 最初の質問すら終わっていないのに、先輩は次の質問をする雰囲気だった。

「なんですか?」

「君のクラスで可愛らしい男の子っているかしら?」

「……はい?」

 また返答に窮した。よもやそんな質問をされるとは……その意図はなんだろうか?

「どうしてですか?」

「なんとなく」

 信号が青にかわり、ぼくらは歩き出した。

「……いなくもないですけど」

「ふーん」

 先輩に興味はなさそうだった。なんで!

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