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 夕方とはいえ残暑厳しい九月初め、ぼくと小阪くんは軽く汗をかきかきスーパーへ向かい、大分汗をかきかき学校へ戻ってきた。

「ありがとう、お疲れ様! 休んでていいよ。金川かなかわさん、ダンボール来たよー!」

 崇城さんが文化祭実行委員を呼ぶのを確認して、ぼくは教室の隅に移動して床に座した。辺りでは女子たちが真面目に動き回っていたり、男子たちが真面目に雑談していたりしていた。

「ちょっと、トイレ行って来る」

 小阪くんはぼくにそう告げて教室を出て行った。願わずも親しくなり掛けた小阪くんがいなくなり、じゃっかん寂寥感。

 ――部活に今日は休むって言ってないな。

 言う必要もない気がするけど、ここにはいずらいからちょっと行ってみようかな。

 ぼくは誰にも告げずに教室を出た。

 二階へ上がったとき、階段近くの教室から、「平さん、鏡だけ見てないで手伝ってよ!」という怒鳴り声が聞こえてきた。廊下へと出てみると、そこはダンボールの束やら人やらである種ジャングルのようになっていた。声のした教室を覗いてみた。後ろへ寄せられた机の上にたくさん鞄が乗せてあり、ぼくの目の前にもチャックの開いた鞄が置いてある。なるほど、危ない。その鞄の先の窓際でこちらに背を向けている平先輩がいた。顔を黒板の方へ向けていたから横顔でわかった。それから鏡を脇に置いてあった鞄にしまおうとして、その手を止めた。振り返り、ぼくにぎこちなく、かつ軽く手を振った。慌てて振り返した。すぐにその場をあとにすることにした。

「トイレにこもってないで出て来い!」

 帰り際、男子トイレのドアの入り口で仁王立ちする女子生徒の横をとおり過ぎた。

 パワフル。

 辺りの廊下にいる生徒たちが奇異の目でそれを見ている。奇異というか非日常を見ているというか、いや、非日常なんだけど……。

 トイレの中にはちょっと優等生っぽくない男子生徒が複数名おり、何やら反論していた。

 あんまり関心を向けてもしょうがないので、ぼくは目的地へ急いだ。パワフルな女子生徒がトイレ内に突入していくのは見た。男子生徒たちの断絶魔のようなものが聞こえた気がしたが、気がしただけだろう。

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