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 場面を戻して、現在。場所は文芸部部室。ここには今、ぼく、平先輩、崇城さん、小阪くん。それから平先輩が引っ張ってきた謎の男子生徒がいる。みんなとりあえずそこらに散らばっていた椅子に座っている。

「で、どうするの?」

 平先輩が言う。憤慨げに。

「どうするって言われても……」

 ぼくは口ごもる。本来こういう役は松前先輩とか國寺くんなのだが、あいにく不在だ。というか、この場合に限り二人が出てくると面倒なことになりそうな気がする……ぼくがなんとかしなければ……。

「でも、小阪くん。なんで断らなかったの? それこそ君らしくないっていうか……」

 崇城さんが首をかしげる。小阪くんがそれを見て、ちょっと困った顔をする。

「僕はどうにも年上が怖いんですよ」

 小阪くんは答える。みなが押し黙る。

「……でも、まあ、小阪くんが自分本位な理由で盗んでたわけじゃないことがわかって良かったじゃない」

 崇城さんが繕うように言う。謎の男子生徒がちょっと反応する。崇城さんがちょっと引く。

 ――居心地悪い……。

 本当に奇妙な現状だ。

「それよりも、彼はどうする?」

 平先輩が謎の男子生徒を指差す。みなの視線が謎の男子生徒に注がれた。謎の男子生徒はじゃっかん怯むが、ここでやっと口を開いた。

「俺は知らねーよ! なあ、平さん、誤解だって! 俺こんな後輩知らないし、金を盗めなんて命令した覚えだってねーよ!」

 謎の男子生徒、説明をすると平先輩のクラスメイトはそう弁明した。

「じゃあさ、ちょっと財布を見せてよ」

 平先輩は男子生徒を睨めつけた。男子生徒はたじろぎ、先輩を虚勢紛いに睨み返す。睨み返される。……怖っ。

 男子生徒はおそるおそる財布を手渡した。平先輩はそれを無造作に受け取り、お札入れを開いた。縦に二箇所折れ目のついたお札が入っていた。

「普通こんな折れ目はつかないわよね」

 平先輩が問い詰める。質問口調じゃない。

 怖っ!

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