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 それはやはり早とちりなのかもしれない。勘違いでしかないのかもしれない。それはぼくであったり平先輩のものであるのかもしれない。

 頼れるものは先輩だけであって、しかもそれはだいぶ弱い。それこそ先輩の勘違いかもしれないし……。

 ああ、もう、なんなんだか……。

「……どうしたの、黒木くん?」

 崇城さんが横から声を掛けてきた。

 いつもの朝の教室。いるのはぼくと崇城さんのみ。いつもと同じだ。

「ああっ、いや、なんでもないです」

「嘘。だって、さっきから黙ってばかりで、話し掛けても何も答えてくれなかったじゃない。いくら口数の少ない黒木くんでも、さっきまでのはないと思うよ」

「……そんなに無反応でしたか?」

「あっ、認めた」

「…………」

 崇城さんは笑う。そりゃもうこの世には笑うべきものしかないかのように。

「……あのう、崇城さん」

「何?」

 本当に邪険ない。話にくい。でも、話さなくてはならない。いや、勝手にそう思ってるだけだけど。

「話があります。というか頼み事です」

「何かな? 黒木くんが頼み事なんて珍しいね?」

「正確に言えば、万永さんにお願いしたいことなんですが、かまいませんか?」

 崇城さんは目をしばたいた。それからちょっと表情を曇らせた。

「先輩に? 何を?」

「今起きている連続盗難事件のことです」

 途端、崇城さんの表情は疑問符に早がわり。もちろん、そういった表情をした、ということである。

「盗難のことで?」

「はい。國寺くんや松前先輩に頼むのはきっと穏便にいかないで面倒だと思うんで」

「穏便にいかない?」

「はい。とりあえず、話だけでも聞いてもらえますか?」

「それって、ワタシに言うより先輩と直接話した方がいいんじゃないかな?」

 ……それもそうか。

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