水は旅人
「夏の涼」企画の第4段になります。
ある有名歌手の歌のタイトルを思い出して書いてみました。
夏の涼を感じてもらえれば幸いです。
さぁ、ぼくらと旅をしようよ……
ぼくらは空の彼方から
地上を目指して降り注ぐ
ぽつッ…… ぽつッ…… ぽつッ……
可愛らしい雨音を鳴らしながら
みんなでお歌を歌うんだ
地面へ落ちたそのあとは
再び、みんなで集まって
海を目指して旅に出る
さら…… さら…… さら……
静かなせせらぎを囁きながら
僕たちは野山を駆けめぐる
多くの生命を育みながら
たくさんの仲間たちと合流していくんだ
やがて河口が近くなると……
母なる海の声が響いてくる
ざっばーん!
ざっばーん!
大きな波音を立てながら
私達のことを出迎えてくれる
ただいま……
おかえりなさい
ああ…… ようやく私達は母の下へと帰ってきたんだ
長い旅路を終えて広大な母の下へと……
私達は母との再会が嬉しくてついつい涙を溢してしまう
ぽろっ ぽろっ ぽろりと……
母の胸元で束の間の喜びを噛み締めながら
そして……
ぼくらは再び旅に出る
びゅーっ、びゅーっ、びゅーっ
風のお舟に揺られながら
雲のベッドにくるまれて
空の彼方へと運ばれる
父なる大地のもとへと再び旅に出るんだ
とりあえず、水の循環について想像を膨らませてみました。
この作品を読んでほっこりとしてもらえたら幸いです。