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おい異世界!商売舐めるなよ!  作者: クロアリ
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第78話 商人ギルド


四の月になりました。先日、成人の祭典も終わり、この前採用した面子も今研修と称して持ち回りで各部署を周っている。


新生活を始める人が多いので、家具、家電の売り上げが上がっている。食器やタオルなんかの生活必需品の需要も高いようだ。


だが、今回は特化して宣伝するような事をしなかった。何故なら金が廻らない状況の改善策が未だ出来ていないからだ。


従業員の給料を支払い、税金を納め、生活するには十分すぎる利益を得ている。稼げる時に稼ぐ、商人の矜持に反しもどかしい気持ちになるが、そもそも経済が破綻しては元も子もない。今は我慢しよう。


そもそも、従業員が外で金を使わないのはウチが便利過ぎるからだ。基本何でもあるからな。


一応対策としてちょっと前から食事代は有料にした。それに伴って各部屋にキッチンも設けた。従業員には説明もして、なるべく外で金を使うよに促してはいる。


が、他と比べてもウチの商品は安価で高品質。外で金を使うのは飲食くらいになってしまっている。う〜ん。困った。


全体の給料を減らし、余った金を寄付したり、公共事業を斡旋したりすれば解決するのだが………ぶっちゃけ給料を減らすと言う行為をしたくない。だから、そこまで余分な金を俺は持っていない。


従業員の購入制限でもかけるかな………あまりしたくないけど…


それは置いといて、ついに商人ギルドが出来た。今日はオープンセレモニーをやると言うので、サイアスさんから貰った招待状を持って向かっている。


俺一人でいいかな?とか思ったが行きたそうにしていたのでイリム、カナデ、ヒビキ、アテナ、サリアを連れている。


リリスや神獣達は興味ないそうだ。他の従業員は恐れ多いと辞退した。


土地の関係上、外壁に近い場所にそれはあった。真っ白い壁に青い屋根。大きさは冒険者ギルドに引けをとらない。看板には立派な稲妻が書かれている。


稲妻………おい?あれウチの、スクランブルのマークじゃないか?どう言う事だ?


中にはいると、サイアスさんとレオさんが迎えてくれた。



「トールさん、わざわざご足労頂きありがとうございます」


「おートール、待ってたぞ!」


「いえ、この度はお呼び頂きありがとう………じゃなくて、外の看板についてご説明頂きたいのですが?」


「さー役者が揃いました!これよりオープンセレモニーも開催したします!」



サイアスさんが俺を無視して進行を始める。


え?なに?宰相さんこう言う感じの人でしたっけ?


「まず、国王の友人にしてスクランブルのオーナー、初代ギルドマスタートール殿よりご挨拶頂きます!」



……………は?


なんですと?何故そうなる?え?いきなり挨拶しろと?……マジスカ?


俺がパニックになっていてると、兵士さん達に無理矢理壇上に連れて行かれる。


お前ら顔を覚えたからな!次にうちに来たらSランク階層に飛ばしてやる!


有無言わず壇上に上げられた俺だが……恐らくココで否定的な事を言えば商人ギルドの計画自体が頓挫してしまう。それでは俺も困るのだ……ちくしょーはめられた!



「ただいまご紹介に預かりました。トールと申します。ご存知の方も多いと思いますが普段はスクランブルにて責任者をしております。ギルドマスターに任命して頂き、誉と感じておりますが、実はつい先程まで知らずにおりまして正直驚いております。ですが、商人ギルド自体は私が国王陛下に進言した団体であり、この成功を願う者であります。仮としてでも任された以上は責任を持ち臨む所存ですので、どうかよろしくお願いいたします」



やんわりだが、知らなかったし、仮だから任せられる人材いたら席譲るよって話をした。



「さて、この商人ギルドですが、スクランブル、以後当店と呼びますが、その当店での問題がきっかけとなっております。……従業員不足です。今現在、商人や職人になるにはそれぞれ目指したいと思う若者が各店の門を叩き、弟子入りする流れかと思います。しかし、それでは私達が人を求めた時に採用する事ができません」



おさらいだが、俺が商人ギルドを求めた理由はハローワークの設立だ。これにより商人ギルドに求人を出せば商店は人材を確保できるし、人は冒険者以外にも簡単に職を探せるようになる。



「また、流通の面でも各商店に売り込みをしなくとも商人ギルドに登録すれば求めている品を卸せるようになるかと思います。冒険者ギルドとの兼ね合いですが、冒険者ギルドには素材を、商人ギルドは製品をと考えて頂ければと思います」



まぁ降ろし問屋だな。一旦まとめて仕入れて、それを各小売店へ卸す。昔はなんで問屋なんてあるんだろうとか思ったが、こう考えれば間口を一つにまとめるのは実に効率的だ。



「その他にも祭事の取り仕切りなどを主な業務とし請け負う予定となっております。当然タダで請け負う訳では御座いませんが、国からも援助がでますので、格安に今までの手間が解消されるかと思います。各商人、職人の方々に是非ご協力頂ければ幸いです」



ドサクサに国からの援助が出ると言ったらサイアスさんがギョッとしていた。何も相談なくギルドマスターやらされるんだから、此れくらいは受けてもらう。


残念ながら商人ギルドは各商店の協力が不可欠だ。店を登録してもらって初めて機能する。誰も登録しなくては潰れるだけだ。



「以上を持ちまして挨拶とさせていただきます」



そう締めて俺は壇上を後にする。



「トールさんかっこ良かったよー」


「先輩、いつの間にそんな話になってたんしか?」



カナデとヒビキが近づいて来た。



「ありがとうカナデちゃん。実は俺も初耳なんだよヒビキ」


「「え?」」


「あの挨拶は行き当たりバッタリのバッタリだ」



洒落ではない。



「ま、マジすか?」


「トールさん、凄い人だったんだねー」



いや、朝礼とか基本いつも行き当たりバッタリだよ俺は。いつも思ってる事を、感じた事を話しているだけだ。今回は商人ギルドを立ち上げるにいたっての経緯と想定される効果を話しただけに過ぎない。


そう考えていると、サイアスさんとレオさんが近くに来た。



「おートール!立派な挨拶だったな!」



レオさんがニヤニヤしている。



「…恨みますよレオさん」


「す、すみませんトールさん」



ちょっとレオさんを睨むとサイアスさんが謝って来た。



「大丈夫だサイアス。トールはこの程度で癇癪起こす程ケツの穴のちっちぇー奴じゃねぇ」


「はぁ……で、国から援助を出してくれるんですよね?」


「おー!引き受けてくれんのか?」


「いや、断っていいんですか?」


「それはダメだな」


「レオさんは駆け引きとかしないで、素直なレオさんがいいですよ」


「がはは、俺も向かないと思う」


「しょうが無いので引き受けますよ。俺の為でもありますし」


「いつもありがとうな、トール!」


「本当にそう思ってますか?」


「がはははは」



笑って誤魔化された。後から聞いたら商人ギルドを任せるに当たって完璧に理解してくれる人材が探し出せなかったそうだ。


中間の隙間産業だし、薄利の予定だから我の強い商人達はやりたがらないだろうな……


そのうち商人ギルドが大きくなれば権力的な意味でやりたがる奴も出てくるだろうけど、そうなったら、そうなったで面倒くせぇ。


まぁ気楽にやるか。所詮ハローワークと降ろし問屋と商工会の複合事業だ。


あれ?もしかしてクソ忙しい?


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