第76話 ダンジョンオープンしたよ
レオさんは受付を済ませると颯爽とCランク階層へ入って行った。
レオさん自体はBランク冒険者の資格を持っているが、兵士の訓練もあるので無理のない階層から始めたのだろう。
「全く国王様は……」
宰相さん改めサイアスさんが呟く。
心中お察しします。だが……
「しかし、あのレオさんだからこそ、国民が生き生きとしてるのでしょうし、貴方が支えるのでしょ?」
「………違いない」
レオさんの人望はレオさんだからこそだ。あの人には何だかんだ言っても人を惹きつける魅力がある。
見た目脳筋オッさんなのにな。
さて、そこからも営業を続けるがダンジョンはそこまで混まなかった。
それは安全性の心配というより採算の問題だろう。
ダンジョンの入場料と成果に差がなければただ危険な場所になってしまう。冒険者達も生活がかかってるから迂闊には入らないだろう。
うちとしてはそれで誰も入らなくてもDPを増やす農場として活用すればいいと思ってる。銀貨一枚の採算に見合うのは魔物素材の価値を除くならBランクダンジョンからだろう。
Bランクからは宝箱の魔道具は最低銀貨30枚クラスになっている。ウチは受付時に冒険者ランクを聞いて推薦階層を提示するので、実質うちに通うのはBランク以上の冒険者になるだろう。
まぁ冒険者ギルドが新人育成に使ってくれる手筈になっているので底ランク階層も腐らないけど。
魔物同士で戦って進化する奴も出てくるだろう。蠱毒だな蠱毒。Sになったらテイムしたいけど、そんな環境でなった奴言う事聞いてくれるか不安だ。
増えすぎたら間引く手間があるけど、それはウチの経験になるだろうし、なによりDPになる。だから、ダンジョンは儲からなくても問題ないのだ。
ダンジョンは儲からなくても問題ないが、他はちょっと問題になりつつある。ウチの中で利益が回転しちゃってて、あまり外にでないのだ。ウチの商品が良いから従業員すらウチで買い物するのだ。
出る金と言えば税金と鉱石、魔物素材くらい。魔物素材も下手したらダンジョンで賄えちゃうからいよいよ問題だ。
店としては給料で従業員に還元してるから店に余計なお金がある訳じゃないから更に困る。従業員を外で買い物させる方法………あるかな?
そんな事を考えながらレオさんを待っていた。
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〜〜レオパルド視点〜〜
さぁ待ちに待ったダンジョンだ。
トールには兵士の訓練として作って欲しいと祈願したが、ぶっちゃけ俺が入りたくなったから頼んだんだ。
来る日も来る日も、書類に判子押していい加減うんざりなんだよ……たまにはハメを外してだなー……あ?サリアスに仕事丸投げしてスクランブルに行ったりしてるだろって?
ば、アレはアレで立派な仕事なんだよ!スクランブルは何かと問題だからな!うん、仕事だ仕事!
ただまぁ訓練に使いたいと言ったのも嘘じゃねぇ。トールの話だとダンジョンで経験を積めば進化しやすいみたいだしな。
人の進化で確認されているのはハイヒューマン、ワルキューレ、ヴァルキュリア、賢人の4種だ。俺は既にハイヒューマンになっている。
進化の条件は未だに解明されていないが、進化すると体が輝くのですぐ分かる。種族は教会で見てもらわないと分からないのが難点だな。
レベルってのがあるらしいって噂を聞いたことがあるが、それを見れる専用のギフト持ちしか分からない。いつかトールが見るための魔道具を作ってくれないかと期待はしてる。
でだ。今俺は騎士達とCランクの魔物がいる階層に来ている。俺は冒険者で鍛えた訳だが、戦闘スタイルは重戦士と言える。似たような騎士達を連れて訓練しようって腹だ。
斥候系はEランクに歩兵と弓兵は混合してF.Dランクに行ってもらってる。戦闘職別やコンビネーションを磨いて欲しいと思ったからだ。連れて来た奴等は大体若い奴らで、ベテランを一人か二人入れて手本にしてもらう策だ。
これなら全体の育成になるだろう。
さて、そろそろ行くか。
「行くぞ野郎ども!」
「「「はい!」」」
俺は騎士達を率いて闊歩する。
少しすると大きな猪の魔物が出て来た。
「レッドボアか……」
ワイルドボアの上位種で火耐性がある個体だ。
レッドボアは此方に気付き足を唸らせ突進して来た!
「戦隊!前コの字に展開!盾で受け止めて刺し殺せ!一名中央を後ろから支えろ!」
俺は騎士達に指示し展開をみる。中央の騎士にレッドボアが体当たりするが、盾でしっかり受け止めてられている。
本当なら体重差で吹っ飛ばされそうなもんだが、一名がそれを後ろから支え耐えさせたのだ。
左右にいた騎士がランスでレッドボアを刺すとレッドボアは悲鳴をあげた。
中央の騎士がトドメ!と言わんばかり最後にレッドボアの眉間にランスを突き立てた。
程なくしてレッドボアは絶命した。
「よし!よくやったお前ら!」
「「「「ありがとうございます!」」」」
騎士に激励を飛ばし、俺はマジックバックでレッドボアを回収した。
美味いんだよこいつは!火耐性のせいで調理に手間はかかるが引き締まった赤身の独特の歯ごたえと味がクセになっちまうんだ!
今日は帰ったらこの間デパ地下で買ったワインって酒と一緒に楽むとしよう!絶対に合う!
ニヤニヤしながら進むと、また魔物に遭遇した。
「なんでこいつが………」
頭は猿、手足は虎、尻尾は蛇の魔物がいた。
「鵺………」
Aランクの魔物、ヌエだ。
なぜCランクの階層に!とか思ったが、よく見ると赤い襷のような物をしていた。
あれスカーフって言うのか?
俺はビビってしまってる騎士達に通達する。
「警戒やめ!おそらく斉天大聖の眷属だ!敬礼!」
ビッ!っと全員で敬礼し、鵺を見送る。Aランクの眷属をCランクの階層で巡回させるなよ……ビビっちまったよ…帰ったら文句言ってやる。
再び俺達は進む。
次に現れた魔物は………
「よりによってスライムかよ………」
目の前にはグニグニと蠢く一メートル程の気持ち悪い生物がいた。




