第65話 帰還
ヒビキ達がゴメス救出に向かって数時間が経過していた。もうすっかり深夜になっている。イリムは明日もあるから先に寝かせた。今はシルヴァをブラッシングしなが帰りを待っている。
「無事に帰って来いよ………」
ヒトミやクーロンがいるから余程の事がない限り平気だと思うが、余程の事がないとは限らない。当たり前の毎日だが全く同じ日がないのと同じ、予測は予測でしかない。イレギュラーは当たり前にある。
そんな事を考えながら更に数時間が経過した。
その時、転移陣が輝きヒビキ達が現れた。ゴメスに15〜6歳の少女もいる。あれが第2皇女だろう。
「おかえり。無事でなによりだ」
「先輩…起きてたっすか?」
「当たり前だろ。お前らが命かけてるのに寝てられるか」
心配で眠れねぇよ。
「その割にはシルヴァさんブラッシングしてるんすね」
「なんかしてないと落ち着かないんだよ」
「松本さん相変わらずだね〜」
小柄で短髪、ボーイッシュな女の子がいた。
「カナデちゃんか?」
「ご無沙汰です。松本さん」
「カナデちゃんまでコッチに来たか」
「あんまり驚かないんですね」
「なんかもうこの程度なら驚く気になれなくてな」
ヒビキがいたんだし、そこまで驚く事じゃないと思う。
「我々も良いか?」
「おぉ無事で良かったなゴメス」
「あぁ貴殿のおかげだ。感謝する。それで此方が……」
「帝国第2皇女、リリアーナと申します。この度は窮地にご助力頂きありがとうございます」
「此方も目論見があっての事だ気にしないでくれ。それに実行してくれたのはヒビキ達だ。礼はそちらに、俺は何もしてないさ」
「それでも貴方様のご助言がなければ、何も動かなかったと聞き及んでおります。本当にありがとうございます」
礼を言われて悪い気はしないな。
「主人殿!そんな駄犬より妾を愛いでてほしいのじゃ!」
ヒトミがぶっこんでくる!
「え?ヒトミさんって松本さんとそう言う関係なの?」
「こらヒトミ、あらぬ誤解を生むだろ。猫状態ならいいぞ」
「にゃー」
ヒトミが輝き猫の姿になり俺の足元にくる。俺は抱きかかえ撫でてやった。
「ヒトミさんが……猫になった……」
カナデが驚きを口にし、ゴメスは開いた口が塞がらないようだ。リリアーナ皇女は………なんかヒトミを物欲しそうに見ている。
「なんだヒビキ、説明してなかったのか?」
「そんな余裕なかったっす先輩」
「余裕が無くなるような事態があったんだな……色々聞きたいし説明しなきゃならないようだが、今日はもう遅いからゆっくり休んでくれ。明日営業終了後にでも今後の事を話そう」
「ご配慮いただき、ありがとうございます」
リリアーナ皇女からは礼しか聞いてない気がする。
「はぁ〜疲れた〜」
「カナデは何もしてないだろ。本当に疲れてるのはクーロンさんとヒトミさんだ」
「そうだね兄さん」
「そうかクーロンも頑張ったんだな。お疲れ様。皆んなを守ってくれてありがとう」
「勿体無いお言葉、恐縮ですマスター」
「疲れてるところ悪いんだが、ヒビキとヘレンと手分けして、客人達を空き部屋へ案内してくれないか?」
「畏まりました」
「頼んだよシキ」
そうして皆んなを部屋へと案内してもらって、その日は就寝した。
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翌日。
救出班は昼過ぎまで寝ていた。まぁ朝方近かったし、疲れてたんだろうから仕方ない。
俺?睡眠4時間もあれば働けるだろ?小売業は営業が終わってから飲み会するからそんな事は結構ある。酒が入ってない分、楽に起きれた。
営業が終了したら、リリアーナ皇女、ゴメス、ヒビキとカナデ、クーロンとヒトミを呼んで、まずはウチの説明。
イリム、リリス、アテナ、シルヴァにもいてもらう。サリアとリュアスは今回いない。重い話もあるだろうから関わらせたくない。
ダンジョンであり、異世界の商品を製造販売している事、クーロン、ヒトミが魔物である事などを説明する。
俺が異世界人ってとこで、ゴメスから「そう言えば勇者なのか?」って質問があった。大分前にも聞かれて答えて無かったな。素直に違うと答えた。
俺は女神ロスディアからダンジョンを作り生き物の進化を促すよう命じられた存在だと話す。「神の使い……」なんて言われたが、そんな大層なもんじゃないと言っておいた。
ヒビキからはセキの首が落とされたと聞いた。はっ?それ大丈夫なのか?コクに確認するが大丈夫らしい。記憶も再現してるようだ。
しかし、Sランクの魔物の首を一撃で落とし、ヒトミと殴り合える化け物がいるのか……正体はわからないが、今後もきっと関わってくるのだろう。異世界とはそう言うとこだと思う。
さてさて、情報の共有化はすんだ。それじゃあ、これからの話をしよう。




