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おい異世界!商売舐めるなよ!  作者: クロアリ
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第56話 クーロン?


この短期間に進化だと⁉︎


目の前には輝きを放つクーロンがいる。



「マスターによる複数の名付け、シルヴァとの毎日の模擬戦闘によりかなりの経験を得ていたと考えられます」



つまり、俺の九つの名付けがトドメになったと?マジすか?


光が収まるとそこには巨大なヒュドラ………ではなく、赤い髪の男性が立っていた?身長180cmくらい?体格は良いがゴリでなく細マッチョ?爽やかイケメン風だ。



「クーロン……なのか?」



俺は恐る恐る声をかける。



「おう!クーロン・セキだぜマスター!」



セキなのか?なぜ人型?ってか他の人格はどうした?



「マスター!名付けで進化した事には感謝してるがな、俺はあんたに負けて服従した訳じゃないからな!シルヴァの旦那さえいなけりゃ……」



そう言いかけると、再びセキが光り、今度は黒髪になった。



「失礼いたしましたマスター。セキでは話になりませんので私がご説明いたします。私はコクでございます」


「頼むよ」


「承知いたしました。マスターの名付けにより私達は進化し、レンジェンドヒュドラになったもようです。人族ではSランクとされる魔物になります」



おぉークーロンもSランク、シルヴァに並んだか。



「とは言え、シルヴァ様には遠く及びません。同じSランクとは言え彼の方とは天と地ほどの差がごさいましょう」



そ、そうなのか?



「レンジェンドヒュドラになった事により私達は人化が出来るようになりました。本来のレンジェンドヒュドラは人の言葉を話す事は出来ても人の姿になる事は出来ませんでしたので、これはマスターの力かと存じます」



ほ、ほぅ……



「人の姿になった事により、マスターと意思疎通が出来る事は大変喜ばしい事なのですが、いかんせん頭が一つしかありませんので、この姿では私達は一体づつしか表に出れません。残りは意識はあるものの話す事が出来ない状態にあります」


「だいたい分かった。ありがとう」



コクは優秀だな。俺の疑問はだいたい解消された。



「マスター、それでですがお伝えしなくてはならない事が他にもございます」


「なんだ?」


「先程のセキもそうですが、ライ、シキ、コンの4名、我々の半数は未だマスターが主人と言うことを疑問視しております」


「それは俺が弱いからか?」



コクは頷く。



「はい、彼らはマスターの力を侮っております。マスターを認める我々はマスターは力が弱くとも多くを指揮する能力に長けており、それを含めマスターの力と認識しておりますが……脳筋どもは……」



ヒュドラにも脳筋と頭脳派がいるのか?しかも個人の別人格で……なんか頭がおかしくなりそうだ。



「………とりあえずセキ出してくれるか?」


「よろしいので?」


「大丈夫だ。認めてなくても俺に逆らう事は出来ないのだろう?死にはしないさ」


「………畏まりました」



再びクーロンが輝くと、赤い髪のセキに変わった。



「マスター!俺に力を示せ!」



セキは言う。示せって言われてもな……



「悪い。俺にはセキに示せるような力はないんだ」


「じゃーマスターとして認められない!」


「構わないよ」


「へ?な、なんで?」



セキが面を食らったような顔で驚いている。



「考え方なんて人それぞれだろ?ここの皆んなは俺に忠実過ぎるからな。俺に刃向かう奴がいたっていいだろ?」


「それ可笑しくないか?」


「可笑しくはないな。寧ろ俺が曲がってしまった時に俺に刃向かえる奴がいないと困る。それにクーロンを従えたのはシルヴァだ。それは俺も理解してる。だから無理やり従わせる事はしたくない。今は多数決か?俺を慕ってくれる奴の方が多いから聞いてくれるんだろう?もし、反対派が多くなったら言ってくれ、解約するのも考える。……ただ、俺としては今後も力を貸して欲しいと思う。クーロンがいなきゃコカトリス達や魚介類の管理が出来ないからな。それに見合う報酬は用意したいと思う。要望があるなら言ってくれ。俺に出来る範囲になってしまうが」



俺はクーロンも立派なウチの従業員だと思っている。俺にとって従業員は部下じゃない。一緒に目標に向かって走る仲間だ。責任の問題や、やり方云々で上下関係は存在するが無理矢理従わせるとかしたくない。ただ、シルヴァに無理矢理連れてこられた事は俺も気になってはいたんだ。従魔契約も受けてくれたが、本心だったのかと………



「お、おぅ……ちょ、ちょっと待ってくれ」



セキうつむきブツブツと独り言を言っている。あれは脳内相談でもしてるのだろうか?



「悪い、待たせたマスター」



セキが再び話し出す。



「マスターを仮の主人と認める事にした。なんだかんだ言ってもマスターのお陰で進化し、俺達と言う人格が生まれた事は事実だ。俺たちはマスターに恩がある」


「別に対等の立場でも構わないけど?」


「いや、ダメだ。シルヴァの旦那がマスターに従ってるんだ。俺達が従わないのはおかしい」


「シルヴァ云々は抜きにしよう」


「それでもだ!俺達がマスターに従わなきゃバジリスク共がマスターを襲っちまう!」



セキ……コクに脳筋と言われてたのに気遣いが出来る奴なんだな。


直近の部下がそのまた部下に上司の不満を言えば、部下達はその上司を軽んじる。文句や不満は部下に見せてはいけないのだ。指令系統が可笑しくなれば組織は回らなくなる。店長と副店長が仲が悪いとスタッフは困惑するしかないものだ。



「ありがとうな、セキ」



ふん!っと鼻をならし後ろを見るセキ。照れ屋か?ツンデレか?男にされてもちょっと困るぞ?ツンデレ枠はリリスがいるし。



その後、クーロン達は人化できるようになった為、度々店舗の方にくるようになった。なんでも仕事をしてみたいとの事だ。


いや、俺の出来る範囲で報酬を用意するとは言ったけどさ、仕事って……まぁ追加で給金も払うとしよう。仕事をしてたいのが報酬になるなら文化に興味があるんだろう。休みに買い物でも付き合うか。


あと、よくシルヴァに絡まれる姿を見る。シルヴァ自体はすでに最上位の存在で進化するのは稀、人化したクーロンに対しての八つ当たりらしい。



「ちょ、旦那!手加減して下さい!」



ギャーー‼︎



ビオトープでは今日もセキの悲鳴が聞こえる。

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