第50話 強くなくても立ち向かわない理由にはならない
「本当に行ってしまった。良かったのですか勇者様」
「あぁなった先輩は俺に止められないっすよ」
「勇者様の力でも無理なのですか?」
「力とか関係ないんすよ。バイトの子がチンピラに絡まれてた時に、キレて向かってった先輩を俺は忘れられないっす」
「そ、それは危険じゃないですか⁉︎」
「そっすねーでも先輩がボロボロになる姿とか想像できないんすよ。いつも余裕の表情で俺たちを励まし、引っ張ってくれたり、押し上げてくれる。それが先輩っす」
「あら、私は最初にお会いした時にグリズリーに追われて焦っていらっしゃいましたよ。その後少し落ち込んでいたように見えましたが」
「それはレアな姿を見たっすね。俺も見たかったっす」
「そうそう、でもグリズリーが戻ってきた時にビビってるのに引かなかったねご主人様」
「そうだな。私達より前に出ていたな」
「リリス、戻りましたか」
「それが先輩っす。守る対象がいるなら先輩は引かないっす。さぁ俺たちも出来る事をしましょう。リリスさん手分けしてポーション飲ませるっす」
「分かった」
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シルヴァに跨り、ゴメスがいる宿場まで来た。
「ここか……」
「オン!」
影から黒ずくめの者達が現れる。
「シルヴァ、此処は任せる。なるべく殺すな。暗部組と同じ様な境遇かも知れない」
「ウォーン!」
シルヴァが吠えると地面が凍りついた。黒ずくめの者達の足ごとこの場に留める事にしたらしい。
同時に俺は宿の中へと走った!中に入って部屋を一つ一つ確認していく。
「お客様困ります!」
宿の店主が止めに来た。
「この宿にゴメスって帝国兵が泊まってるはずだ!部屋はどこだ!」
「お客様の情報を出すわけにはいきません!」
素晴らしい考えだが今はどうでもいい。
「じゃー黙ってろ!」
無視して確認作業へ戻る。
「……………二階の一番奥です」
「迷惑かける。後日埋め合わせをさせてくれ」
そう店主へ言い残し、言われた部屋に入る。
ガキン!
左側から剣が振り下ろされる。俺はそれを左のガントレットで受けた。
「良く受けれたな!だかつ、グギャ!」
ゴメスがいい終わる前に顔面を殴る。ゴメスが後ずさりしたトコで胴に喧嘩キックをかまし倒す。剣を握ってる手を踏みつけ折に行く。
相手の口上など聞いてられるか!
「テメェが何してぇのか知らねぇが、ウチの従業員に手出して無事でいられると思うなよ!」
ゴメスの顔面を踏みつけて言い放つ。
足に違和感が走る。
ゴメスが逆の手で短剣を持ち、俺の足に突き刺してきた。咄嗟に距離をとる。
足からはかなり血が出ている。
痛い……か?アドレナリンが出過ぎなのか。よくわからない。
「舐めるなよダンジョンマスター!」
ゴメスは短剣で俺を突き刺そうとしている。俺は左腕を突き出し、ナイフを受ける。実は最初の斬撃を受けた時から感覚が無いのだ。多分折れてる。空間固定で装備は壊れなくても衝撃は消せないようだ。
左手に短剣が突き刺さり、そのままゴメスの手を掴む。
「ひっ!」
ゴメスが驚いて短剣を離し、後ろへ下がる。
逃がさん。
距離を詰めて右手でゴメスの顔面を掴む。
さぁ俺の唯一の魔法を喰らえ!
「スタンガン!」
電撃がゴメスを襲い、気絶した。
ふぅ……………ちょっとスッキリした。
しかし、気絶させた相手より満身創痍だな……
「イヴ……迎え呼んでくれるか?ちょっと動けそうにな………」
そう言って俺は意識を手放した。
あ、唯一の魔法って言うか、スタンガン以上魔力を消費する魔力を使うと魔力枯渇するか足りなくて使えないのです。
転移は普段。イヴがDP消費して行っています。




