第47話 初売り
開店前から店前には長蛇の列。50人は並んでいるんじゃないか?
やはり、宣伝は大事だった。この日の為に一ヶ月前から初売りチラシを配っていた。
初売り期間は7日まで、一部商品を一割引と二割引にしてある。更に福袋!初売りと言ったらやはりこれだろ。銅貨一枚、銅貨50枚、銀貨一枚の三種類を50個づつ用意した。中にはアテナの服や、魔道具入りの大当たり袋もある。それ以外も金額的にはお客様に損をさせない仕様になっている。
さぁ開店だ。戦が始まる!
「いらっしゃいませー!」
開店と同時に雪崩れ込むお客様!目当ての商品がある階層に散っていく。エレベーターが待てない人は階段を駆け上がっている。
「本日は一部商品がお安くなっております!この機会に是非ご利用くださいませー!」
「福袋は此方にございまーす!数に限りがございますので、お求めのお客様はお早めにお願いしまーす!」
大きな声でアピールする。ってか煽りだな。人は活気があるとついついノセられてしまうもんだ。お祭りでいらない物を買った覚えはないだろうか?あとで後悔する人もいるかも知れないが、俺はそのノリが好きだから悪い事とは思わない。
「店長!なんですかこれ!無茶苦茶忙しいですよ!イベントの比じゃありませんよ⁉︎」
「はっはっは!スミレ!初売りは戦場だ!余計事を考えていると死ぬぞ!」
従業員は多い方だが時間が経てば経つほど増えるお客様を捌くのは至難の技だ。今日は最初っから生産ラインの人員も接客に回している。
「あわわわ」
「俺にはむかねーな」
普段から生産一筋のドワーフ達は四苦八苦している。
「ポプラ!ロングソードとグリズリーの皮の鎧お買い上げだよ!」
「了解ヒノキ!」
小さい子達が頑張ってるんだから頑張れよ。
「ウォッカ!ポーションの補充頼む!」
「了解しやした姉さん!」
リリスは姉さんって呼ばれているのか。まぁ姉御肌だからな。
お昼時になるとフードコートが忙しくなる。
「アンズ、これ三番テーブルにお願いなのー」
「モクレンは七番テーブルにこれ運んでですー」
「「了解です!」」
何時もならシルキー、ブラウニー達だけで回るけど今日は流石に接客班をウェイターにしている。
ファストフードだけならセルフでいいけどメニュー増えたからな。醤油や味噌も出来たから和風な味付けが出来るのが大きい。で、ここで気に入ってくれればデパ地下の売り上げになるのだ。
因みに従業員のお昼はシルキー達がお弁当を作ってくれている。順番に昼休憩をとって食べている。従業員83名、全員分の朝昼晩の食事に社員寮管理、フードコートの営業を6名にやらせてるってオーバーワークだよな……掃除は手伝ったり魔法で済ます事もあるけど。シルキー、ブラウニー達からは文句もなければ暇さえあれば料理の研究にも余念がない。頭が上がらないよ本当に。
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そんな感じで初売り初日の営業が終了した。
「みんな今日はお疲れ様!あと5日間は今日ほど忙しくないと思うけど、最終日まで気を抜かずによろしく!」
「疲れました〜」
「今日は酒が旨いな」
「明日もあるんですから潰れないで下さいよ」
5日間と言ったが、1日は水曜なので実質4日間だ。木曜日は元旦を休みにしたから営業する事にした。そして今日だけで用意した福袋や特売品が半分になったが、まぁなんとかなるだろう。その気になれば増やせばいいし。
そんな事を考えながら寮に移動しようとしていると……
「こんばんは」
入り口に若い女性が立っていた。
金髪碧眼の美女だ。白いドレスを来て何処か神秘的な雰囲気を醸し出している。
「いらっしゃいませ、お疲れ様。恐れ入りますが当店は先程閉店いたしました。また明日ご来店頂けないでしょうか?」
一応聞いてみる。この世界には労働基準法もないから営業時間の申告がない。なのでお客様からどうしてもと言われれば多少融通を利かす事も吝かではない。
が、みんな疲れてるし対応するとしても俺だけだ。それに特例を作ると他のお客様にフェアじゃない。平等主義者なんだよ俺は。
「いえ、私が用があるのは貴方個人ですか、閉店していても構いませんよ」
「私にでしょうか?失礼ですが、何処かでお会いしましたでしょうか?」
人の顔を覚えるのは苦手だが、こんな美女は忘れないと思うのだが………
「初めてですよ。美女だなんてお上手ね」
「……………」
心読まれた?
「はい、私は神をやっていますから造作もありませんよ。改めて自己紹介致しますね。私はロスディナ。貴方の世界でカオスやロキと呼ばれる神の系統と同列の存在ですわ」
混沌と悪戯の女神が来た!




