第30話 イベント
今更だけどガトリングの弾を非致死弾すれば良かったかな?でも、そうすると未だにバカが湧いていただろうから結果的には良かったとしよう。ヒノキが殺されそうになった訳だし、正当防衛だ。
ガトリングについてはレオさんに追求された。その武力が王国に向かないのか?王国の防衛に使えないのかとか。
まず、国に対して反抗する気は一切ない。俺は商売をしたいだけである。
帝国の防衛に対しては、王都を丸ごとダンジョンにすれば可能だと話した。しかし、常にガトリングで狙われるかも知れない恐怖に民は耐えれますか?と話すと諦めてくれた。
まぁ王都全域をダンジョン化するDPなんてないんだけどね。以前より潤沢にDPがあるとは言え、維持や制作に関係ない余剰DPはあまりない。さらに言えばガトリングを作る材料もない。帝国がウチの店に向かってくれるなら勝てるが、そんな事はしないだろう。万が一の時は入れるだけ店で匿う事を約束した。
その後、家電コーナーで接客をはじめたヒビキの後ろにヒノキがいる事が多くなった。少し認められたかな?ヒノキは「そんな事ありません!」っと否定してるが、三階担当だったのに四階にいる時点で察しだ。
さてさて、初のイベントの日が近づいてきた。今は屋上イベントコーナーで孤児たちや、出店予定の屋台の人達を招いて準備している。
「初めて来ましたが、凄いお店ですね……いえ、ダンジョンでしたか……街中にダンジョンがあるのもですが、遊具があるなんて……不思議な気分です」
ブランコや滑り台で遊ぶ子供達を見てシスターが呟く。
「おじちゃんのお店は凄いでしょ?パパのお店の面影はなくなっちゃったけど……私の自慢なの!」
サリアがシスターに誇らしげに話している。いや、なんか申し訳ないな。面影0になっちまったもんな。
「どうだい、劇は上手くいきそうかい?」
二人に話しかける。
「こんにちはトールさん。子供達も張り切っていますので、最高の劇になりますよ」
「大丈夫だよ!絶対成功させるからね!」
何をもって成功なのかは分からないが、やる気が満ち溢れてるのは分かる。
「戻ったすよー」
「只今戻りましたトール様」
イリムとヒビキが帰って来た。二人にはイベントのチラシ配りをお願いしたのだ。
「全部配ったのか?」
「はい、全て配り終えました」
「余したらもったいないじゃないすか」
チラシは1000枚ほど印刷した。ビラ配りは数が勝負だ。でも、配った人が全て来る事はない。一割でも来てくれたらよいと思ったらいい。
しかし、今回のチラシはお買い得情報を載せているので、そこそこ期待している。
「おじちゃん、チラシってどんな事書いてあるの?」
「見てみるか?」
チラシをサリアに渡す。
「これいいの⁉︎」
サリアが驚きの表情を見せる。
チラシにはこう書いてある。
『孤児たちの劇をスクランブル屋上にて開催!
おひとり様でもご家族でも、是非ご覧にいらして下さい。
劇が終わったらスクランブルでお買い物もどうぞ。
劇を見た人だけに一割引のサービス券をプレゼント致します』
と言う内容だ。
「一割引って凄い事だよ⁉︎魔剣やアテナさんの服も一割引なの?」
「そうだぞ。利益的には問題ないから大丈夫だ。コレはイベントの定着化と、スクランブルの知名度向上を狙う意味がある」
損して得取れって言葉がある。今回のイベントでスクランブルの知名度が上がれば結果として今一割引する損失より今後来店するお客様による利益が上回る事だろう。
一割引サービス券はバーコードになっている。スキャンすれば会計で一割引になる仕組みだ。一回使えば使えなくなるので他の階層の物を一緒に買う事は出来ない。
しかし、劇は三回やる予定なのでチャンスは三回ある。三回全て見るお客様がいるかは分からないが、魔剣やアテナの服、ポーションに家電、狙うお客様は結構いるだろう。お昼時は劇をしないので一つ下の階のフードコートでも来客が見込める。
一回お会計した商品でも、お客様がサービス券を出し忘れる場合もある。そうした時は一回返品処理をして再度サービス券を使用していいと言ってある。
融通効かない店より、お客様の立場になって対応するほうがいい。なんでもかんでもマニュアル通りって訳にはいかないだろ。
………ウチ、マニュアルねぇや。作ったほういいかな?
防犯は独特、レジは間違いようがない。掃除は皆んなしてくれてるし、接客対応も申し分ない。むしろ言われなくてもお客様との会話をしてくれてる。俺はなんて従業員に恵まれているんだ。
結論、今のところ要らないな。もし、王都以外に出店したりする事があって俺の目が届かなくなったら作ろう。
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イベント当日。
スクランブルには開店前から30人ほどの列が出来ている。イベントは開店1時間後が初開幕だと言うのになぜか。
それはサービス券が発行されれば限定品の争奪戦になるからだ。未だに各階の魔道具商品は3個づつしかない。あ、最初だったから魔石を3つづつ配ったので魔道具が3個あるのだ。サービス券が発行されれば、それらの争奪戦になる事を見越した人達が朝から並んでる訳だ。
魔道具商品は最低でも金貨1枚以上するのだが……まぁ普通に買えば金貨10枚かららしいから破格な訳なんだけど、並んでるお客様を見てもサービス券があるならまだしも普通に買うとは思えない俺がいる。
そうして案の定、あとから見るから今割引しろだの言って来る奴がいる。そう言う奴にはお帰り頂く。
壁からガトリングを出して威嚇すると、猛ダッシュで逃げていった。自覚はあるんだね。
並んでたお客様の中には直ぐに屋上に行って場所を取る人達もいた。なんだろう孤児たちのファンか?
一人だけ素で魔道具買う強者もいた。金もあるトコにはあるんだね。………よく考えたらイリム達の月給で普通に買えるな、うん。
ウチの売り上げは今、月で白金貨一枚にもなる。一億円だ。イリム達の給与はそのままに、受け入れ組も当初予定より高く一月銀貨30枚。それでも金貨40枚は経常利益がでる。経常利益率40%だぜ!異常だよ異常!
そんなこんなで劇が始まる。
内容は、悪い国に無理やり嫁がされたお姫様を救う為に、立ち上がった騎士のお話。
騎士は魔王の元で修行して、最高の剣技を習得すると、途中の国々で魔法使いと僧侶、武闘家、ダンジョンマスターを仲間にする。
ダンジョンマスターって動けないんじゃないか?ってサリアに聞いたら、どうやら孤児たちは、どうにかして俺を演出したかったらしい。いい子たちだ。
そんなこんなで、5人は悪い国に着くと5人対国の戦争になった。
無理あるんじゃないかな〜とか考えてたら、ダンジョンマスターが迷宮を想像して、壁からガトリングを複数出して殲滅戦している。
あーなんか孤児たちに悪い影響与えちゃったらしい。
無事にお姫様を救出した騎士は仲間と共にダンジョンで暮らしましたとさ。お終い。
孤児たちがウチの印象が良くなるよう、一生懸命考えてくれたのだろう。おじちゃん嬉しくて泣きそうだよ。
劇が終わると丁度お昼時だ。観客達はフードコートにいったり屋台で軽食を買ったりして過ごしてる。
次の公演は2時間後だ。
俺は孤児達にお昼時を出して、食べ終われば一緒に時間まで遊んでやる事にした。
若いっていいな…おじちゃんはもうヘトヘトだよ。開演時間前まで孤児達と遊んだので疲れた。しかし、孤児達は元気よく次の公演を果たしている。素晴らしいなまったく。
2回目、3回目の公演も無事終わり、来客数も500は超えただろう。チラシ効果50%は凄いと思う。
売り上げも今日だけで金貨20枚になった。月の売り上げの20%だ。
サリア。何が成功か分からないとか思ってたけど、これは大成功だな。




