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おい異世界!商売舐めるなよ!  作者: クロアリ
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第28話 勇者


と言う訳で、勇者は只今牢獄で絶賛気絶中である。


なぜかって?そりゃ最初の冒険者同様に入り口の落とし穴から牢獄に直行していただいたからだ。あの落とし穴はイヴが任意で発動できるようになっている。他にも未会計の商品を持ってると発動するので防犯にも一役かっている優れものだ。


勇者も最初は元気よく「おのれー!」とか「だせー!」とか暴れまくっていたが、魔法阻害効果のある牢獄では意味がなく、徐々に魔力を吸われて現在にいたる。


ちなみに魔法阻害は無属性魔石で作れた。俺も有能な物が出来て満足している。


現在は魔力吸引はしてないので、暫くしたら目がさめるだろう。今のうちにレオさんを呼んできてもらう。



「これが勇者か………」



牢獄の前でレオさんが怒りに震えている。



「レオさん、気持ちは分かりますが抑えて下さい」


「だが!」


「すみません。こいつ、俺の知り合いなので任せていただけませんか?」


「なんだと⁉︎」



レオさんが驚いている。最初にこいつが入って来た時に一発で勇者と分かったのは黒髪黒目だからじゃない。この世界で黒髪黒目は珍しくもないし、此奴は茶髪よりだ。地毛らしいが。



「う、うぅ」



勇者が目を覚ます。



「お目覚めかな勇者様?」



勇者に声をかける。



「お前は………先輩?」



そう、此奴は俺の元職場の後輩。蒸発したオタク後輩の井上 響だ。



「先輩⁉︎なんで先輩がココに?いや、それより助けて下さい!どじっちゃって魔族に捕まっちゃったっす!このままじゃ俺は……」


「いいから落ち着け!」


「はいっす!」



昔から素直なのはいいんだが周りが見えなくなるタイプで注意してないととんでもない事しでかす奴だった。だから蒸発した時もとうとうなんかやらかしたかって考えてたが…異世界で勇者してるとは……



「ヒビキ、お前、自分が何やったか分かってるか?」


「へ?」


「まず、間違って教えられてるだろうから訂正しとく。ここの王国は帝国と違って魔族を差別してない。魔族は立派な国民だ」


「へ?だって魔族っすよ?」


「じゃーなんでお前エルフは狙わなかったんだ?」


「エルフは魔族じゃないっすよね?」


「この世界じゃ立派な魔族だ」


「そんな……」


「だいたい魔族そのものがこの世界では悪じゃない」


「え?」


「オタク知識は俺よりお前の方があるだろうが!召喚されていいように使われる勇者とか考えなかったのか?善政しく魔王とか珍しくもねぇだろうが!」


「……俺…召喚されて…浮かれてた?騙されてたっすか?」


「そうだな。因みにここのマスターは俺だ」


「先輩がダンジョンマスター⁉︎」


「周りから見たらそうだろうが、ダンジョン内の地位はボスじゃない。店長だ」


「ダンジョンを店にするって……先輩らしいっす」


「で、だ。お前は俺の店に強盗に入った訳だ」


「ごめんなさいっす!」


「俺らだけならそれで済んだかも知れないが、お前はやり過ぎた。ここは国の庇護を受けるダンジョン店舗。そこを襲えば当然国から罰が下る」


「マジすか……」


「帝国からある事ない事吹き込まれたんだろうが、甘んじて受けろ。此処にはお前に家族を殺された人達も働いているんだ」


「……………」


「分かったか?」


「……はいっす。後で謝罪に行くっす。許してもらえないし、許してとも言わないっすけど、謝罪しなきゃなんねぇっす」



此奴のこう言う真っ直ぐなとこは嫌いじゃない。周りが見えなくなるのも一途と思えばただの短所とも言えないし。



「で、どうだろレオさん。まだ甘いかな」


「甘いな。甘いが……此奴だけのせいじゃねぇな……」



納得は出来ないが理解は出来るようだ。



「先輩、そちらの方は?」


「あぁレオパルド国王様だ。頭が高いぞ?」


「え⁉︎国王様⁉︎」


「ヒビキと言ったか?今後はどうするつもりだ?」


「……まずは、貴国から出る罰を受けるっす。その後は何年かかるか分からないっすけど、俺の仕出かした事にケリつけるっす。主に俺が手にかけた者の家族に謝罪と支援をしてくっす」


「受け入れられるとでも?」


「思わないっす。逆の立場なら絶対許さねぇっす。だからって逃げれねぇっす。そう言うのは先輩から散々言われてきたっすから」



此方のミスでお客様に不快な思いをさせてしまったら誠心誠意謝罪するしかない。金銭を要求されたら恐喝で逆に訴える事が出来るが、まぁしてこない。場合によっちゃ一日中なんてのもある。それが嫌でミスを隠す奴もいるが、そう言う事はするなと常々此奴には言い続けてきた。


それは隠す事で更に色々な人達に迷惑をかけるから。更にお客様の心を裏切る事になるから。商人として、人としてそれはしちゃいけない。自分のしたミスは素直に受け止め謝罪する。それが正しい事だから。



「……………」


「レオさん?」


「……勇者ヒビキ。お前に罰を与える」


「はい……」


「ダンジョン店舗スクランブルにて店長トール殿に従い、従業員の安全を守り信頼を勝ち取れ。従業員から許しがでれば晴れて解放しよう」


「……ありがとうございます」


「軽い罰じゃないぞ!心して受けろ!」


「はい!畏まりました!」


「トール殿もそれでよいか?」


「むしろレオさんに聞きたいですよ。ウチはダンジョン公開してかバカが集まるので勇者のネームバリューはありがたいですが……帝国どうするんです?」


「最悪は戦争だな」


「民が巻き込まれる戦争は好きじゃありません」



戦争は確かに儲かる。武器に食料、更には人も売れるだろう……だが、嫌いだ死の商人なんて。商売は笑顔の元に在るべきだ。生き生き働く従業員、商品得て喜ぶお客様。人と人の笑顔が見たいから俺は商人になったんだ。


………初心は大事だな。



「最悪の場合だよ。今回は完全にあっちが悪いからな。突っかかってくるなら俺は魔王と同盟を結ぶ」


「それはどうなんですか?今代の魔王は良い方だと聞いですか、良い方だからこそ引き込むのは気が引けます」


「そうなんだか……」


「要は帝国が手を出せない戦力があればいいんですよね?」


「そうなるな」


「勇者と王国騎士団、あとどれくらい必要でしょうか?」


「三騎士団潰せるだけと絶対強者がいれば問題ないな」



うわぁ、思ったより必要だな。だが。



「私が魔物を従えたら、それになり得ませんか?」


「出来るのか⁉︎」


「ダンジョン機能で魔物を飼育出来るらしいんですよ。店が安定したら、ちょっと魔物を探してきますね」


「あぁ分かった。戦争は最終手段だし、そう直ぐになる事でもないからな」


「ありがとうございます。で、レオさん。美味しい魔物ってご存知ないですか?」


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