第24話 仕入先の開拓
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今後も、おい異世界!商売舐めるなよ!をよろしくお願い致します。
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レオさんとの約束は果たして、人員不足は解消されたが別の問題が出て来た。
材料不足。
アテナの糸や薬草のように自給出来ない物が必要になった。
鉱石や木材、あと多分、魔物の素材。魔石ももっと必要だ。鍛治でも使うだろうし、家電魔道具の在庫も心許ない。
と、言う訳で冒険者ギルドにきた。
依頼を出す為……ではない。
俺は顔馴染みの受付嬢さんに話し掛ける。
「こんにちは」
「こんにちはトールさん。今日は依頼でしょうか?」
「いえ、今日は別件です。ギルドマスターはいらっしゃいますか?」
「はい、おりますが……どのようなご用件でしょうか?」
「ちょっとした商談ですよ。お願いがあって参りました」
「分かりました。少々お待ち下さい」
受付嬢さんがギルドマスターに話に行って戻ってくる。
「お待たせいたしました。此方へどうぞ」
受付嬢さんの後をついて行って、通されたのはギルドの三階にある小部屋。ギルドマスターの応接室だ。
「失礼します」
受付嬢さんと中に入るとドワーフのギルドマスターが机に座っていた。
「こんにちは、ギルドマスター。急に押しかけて申し訳御座いません」
「かまわんよ。暇していたところだ。それで商談じゃったか?どんな用件だ?」
早速本題を切り出すギルドマスター。元冒険者らしく、まどろっこしいのは嫌いなようだ。
「はい、この度店を拡大しまして武器防具や軽食も扱う事にしたんですよ。それで今までとは違った材料が必要になったんです」
「ワシを通さなくてもギルドに依頼したらいいんじゃないか?」
「それじゃ足りそうにないんですよ。手間もありますし」
「そんなデカイ店にしたのか?じゃ移転して遠くなったのか?」
「店の場所はそのままですよ。ん〜まぁ一週間後には国から公表されるのですが……」
「なんだ?言いづらい事か?」
「はい…まぁ…商談がまとまったらお教えします」
「わかった。それでどうしたいんだ?」
「ギルドでも魔物の素材や鉱石、魔石は買取してますよね?それをウチにも卸して欲しいんです」
「ウチにメリットはあるのか?」
「この度の店の拡大は国王様からの依頼で難民を雇う為に職場を増やした結果です。断るならデメリットは発生しますよ?」
「脅しか…?」
「いえいえ、脅しなんかしませんよ?」
「わかった。スクランブルも卸先に加えよう」
「ありがとうございます。それで卸値ですが、大量に購入しますので勉強して頂けませんか?」
勉強とは商人の用語で値引きしてくれないかって意味だ。お客様との取引の勉強って意味らしい。
「量にもよるが…そっちからの申し出で値引きするのはな……」
「二割引でいいのですが?」
「二割もか⁉︎」
あれ?なんか間違った?
「あれ?冒険者ギルドの粗利って8割位ありますよね?買取査定、解体代行の人件費や設備の維持費引いても4割粗利があれば足りますよね?二割引なら問題ないでしょ?」
1000円の商品の原価が200円として粗利は800円。経費を引いたら400円が営業利益って考えだね。
二割引して貰って800円。原価200と経費400円は変わらないので営業利益は200円。半分になるけど十分でるよね?買う総量が倍あればいいんだし。
「しかし……ウチの供給は冒険者任せだから数が……」
「買取高を上げればいいんですよ。そしたら増えます。増えた分売価も上がって結果額は増えますよ?ウチが入る分そうなるだろうから値引きして欲しいんですが」
先ほどの商品の原価が400円になれば売価は2000円。粗利は1600円、経費は変わらず400円で1200円の営業利益。
値引きすれば1600円で営業利益は800円。ほら額は一緒になった。
一気に倍になったら売れなくなるかもだけど、大量に購入するって言ってるんだからそれで利益が変わらないよう調整してくれればいいのに。倍になったらウチも損だし。
「額が上がって他の仕入先がどう言うか……」
「ダメならウチがギルドより2割増しで買取すると触れ回りますよ。解体技術とか品物の査定に自信がないので遠慮したいところですが、二割増し程度なら二割引きでギルドから仕入れるよりずっと安上がりですから」
ギルドが200円で買い取る物を240円で買い取る。高く売りたいなら確実にウチに来るだろう。それに仕入れるよりずっと安上がりだ。だが、ウチにはギルドみたいな経験や知識、技術がない。なので正直遠慮したい。
「そっそれは……」
「なんか脅しみたいになって申し訳ない。もしそうなったらギルドから国の命令でもなんでも使って人員も引き抜かなきゃですね」
完全に脅しです。申し訳ないが引けないのだ。
「……」
「先にも言いましたが私はギルドから卸して頂いた方が信頼出来ますので、そうしたいのですが」
「……量はどれ位必要になりそうなんだ?」
「ありがとうございます。これくらいですかね?売れ行き見て変わると思いますが、初期投資としても欲しいですね。魔石は未加工の物だけで結構です」
ウチで作ってきた必要材料の種類と数をまとめた書類仕事を見せる。
「こんなにか……」
「鉱石はどうしても欲しいので依頼料が上がる分高くなるのは仕方ありません。魔石は未加工なら大丈夫と踏んでましたが量が量なので加工済み魔石ほどになっても構いませんよ。魔物の素材は適当なのがあれば買う程度で、必要になったら依頼します」
「……………」
「大丈夫ですか?ギルドマスターと同じドワーフの方もいらっしゃるので頑張って下さいよ」
「ドワーフの鍛治師がいるのか⁉︎」
えっ?驚くとこなの?
「ドワーフって皆んな鍛治が出来るイメージなんですが珍しいんですか?」
「そのイメージは間違ってない。俺でも多少なら出来る。だが、そうじゃなくてドワーフの鍛治師が人の街にいる事が珍しいんだ。ドワーフ、特に鍛治師は同族の街にしかいないのが当たり前だからな。この街にいるドワーフの変わり者も俺だけだし、ドワーフの鍛治師の作品は滅多に出回らない。アラクネといいお前さんのとこはなんなんじゃ!」
「なんなんだと言われましても……」
「とにかく、ドワーフの鍛治師がいるならお前さんの所に優先で卸そう!ドワーフ武器が安価で手に入るなら冒険者達の為にもなる!勿論二割引きも受ける!お前さんの事だから原価が低けりゃそれだけ安く売るんだろう?」
「ドワーフ達の手間賃しだいですが、そうですね。そう言う指示をしてますよ」
「達⁉︎数人いるのか⁉︎」
「もういいんじゃないですか?」
「……あぁすまん。ちょっとワクワクしてきたわい」
脅しのくだりいらなかったんじゃないかこれ?とにかく材料はこれでなんとかなりそうだな。魔石もなんとかなりそうだからエドガーからの仕入れも止めよう。あっちもアラクネの服を止めたんだからいいよな?
「ところで、お前さんの店の事情はどうした?」
あぁそうだった。話がまとまったら話すってさっき言ったんだっけ…
「話さなきゃダメですか?」
「ここまで聞いたら気になるのぅ。国王様もかかわってるんだろ?」
「う〜ん。一週間後に公表されますし、ギルドにも協力して頂かないといけない事でもあるのですが…公表までは誰にも言わないで下さいよ?」
「これでもギルドマスターじゃ!口は堅いぞ!」
「分かりました。実はウチ……ダンジョンなんです」
「は?」
「それで私はダンジョンマスターなんです」
「は?」
「黙ってて下さいね。それで公表後にウチに押し入りそうな冒険者がいたら止めて下さいね。押し入ってきたら容赦しませんよ?」
「ちょちょっと待て……ダンジョン?」
「はい、ダンジョンです」
「魔物がウヨウヨいて、魔道具が宝箱から出るあのダンジョン?」
「こちらのダンジョン認識がどうなってるか分かりませんが、多分、そのダンジョンです。あ!なんで認識がわからないかと言うと、私は異世界人でもあるみたいです」
「は?」
「異世界人です」
「勇者か?」
ギルドマスターが威圧感を放ち睨んでくる。
「勇者ではありませんよ。私は召喚された訳じゃありません」
ギルドマスターが威圧感を抑える。
「そうか…すまん」
「いえいえ、勇者がなにやらかしたか知ってますから勇者かも知れない相手にそうなるのは理解できます。多分勇者も私と同じ異世界人でしょうから、国王様の申し出を受けた訳ですし」
「お前さんが責任感じる事でもなかろうに……話の流れだと国王様も知ってらっしゃると……勇者を釣る気か?」
「はい」
「危険じゃぞ…それにワシがいくら止めても勇者以外の馬鹿も出てくるじゃろ……それだけダンジョンの魔道具は魅力的だ。そうかスクランブルはダンジョンの魔道具を売る店だったか……」
「馬鹿は美味しく頂こうと思いますがいいですかね?こちらも身を守る為なので。魔道具作ってるのは普通人達ですけどね。知ってました?ダンジョンの魔物ってダンジョンマスターの家畜か、野生の魔物が勝手に住んでるかのどちらからしいですよ。魔物は作ったり出来ないんですよ」
「ほぅ興味深い。魔物の家畜か、それが出来るのもダンジョンマスターだからなんじゃろな。馬鹿は好きにするといい。どんなダンジョンだろうと攻略は命懸けで自己責任なのは変わらんさ。更生できそうな若いのは見逃して欲しいが…」
「分かりました。善処します。それに魔物の家畜は普通は無理なんですね?」
「そんな事する奴はいないからな」
「今度試してみます。上手く行けば色々出来そうですから。それでは私はこのへんで失礼します」
「あぁなかなか面白かったぞ。明日には先行して鉱石類と魔石を届けよう」
「ありがとうございます」
そうして、ギルドマスターの応接室をでた。
ふぅ…なんとかなったぜ。やれば出来るもんだな。
その後にエドガーのとこに寄って魔石の取引をやめる事を伝える。もっと食い下がってくるかと思ったが、負い目がある為かそれほどでもなかった。恨みたらしい目をしていたので、今後何かあるかも知れないが……
まぁ返り討ちにしてやるさ。




