第20話 スクランブルの危機
後日、宰相さんがグッタリして家電を買いに来た。うん、お疲れ様です。
冷蔵庫、洗濯機、デジカメを二台づつお買い上げ頂いた。合計、銀貨70枚でした。
冷蔵庫、洗濯機は一台づつでは足りなかったようだ。デジカメは記録ようとレオさんのプライベート用で使うそうだ。
お疲れの宰相さんにはポーションをサービスした。ウチのポーションは効きますよ。
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それから暫くして現在スクランブルは危機に瀕していた。
生産が追いつかなくなって来たのだ。そりゃそうなる。何せ作っているのはアテナ、リリス、イヴの三人だけだ。
かと言って人員増加もままならない。ウチの秘密保持もあるが、アラクネ、ダークエルフ、ダンジョンコアの代わりなんてそうそういる訳ない。
品切れでお客様に泣いて貰うのは簡単だが…せっかくご来店頂いたお客様がガッカリするのは商人の矜持に関わる…
それに、市場で品薄が続けば転売する奴が出て来る。既にエドガーがそうなんだが…エドガーに卸す量を減らしてもいいが、奴に借りを作る事になってしまう。
なんかいい案はないものか……
「こんにちはトール殿」
うわ、こんな時にエドガーが来た。
「こんにちはエドガーさん。本日も仕入れですか?」
顔には出さない。買ってくれる以上お客様だ。差別は嫌いなんだよ。
「その事なんですが…実は他の街で服があまり売れなくなっていまして、仕入れを一旦取りやめようと思います。以前から値引きして頂いてて申し訳ないのですが」
なん……だと……願ったりかなったりだ!
「いえいえ、当店としても実は助かります。在庫に不安が出て来まして、以前のようには供給できなそうだったんですよ」
嘘はつかない。意味がない。
「そうでしたか、それは都合がよかった。それではまた」
要件だけ済ませて足早に去って行った。
う〜ん。取り敢えずコレでちょっとは持つかな?
しかし正直、此処までアラクネの服が売れると思ってなかったんだよね。新品の服ってこの世界じゃメジャーじゃないし、アラクネの服って言ったって白しかないから肌着みたいなのとローブしかないんだから。かえって冒険者には需要があるみたいなんだけど……甘かったな。
「ご主人様いる〜?」
次はアテナが来た。
「どうした?」
「僕休みの日も服作りしようかと思って」
「それはダメだ」
休みは休まねばならない。ブラックにしたくないとか、そう言うわけじゃない。寧ろやる気は買うし、嬉しい一言ではある。だが容認しない。
いい仕事には、いいプライベートが必要だ。また、いい仕事は仕事時間内に終わらせる気概が必要だ。メリハリって大事なんだよ。
アテナには前にも言ったんだがな…
「でも、足りないでしょう?」
「足りない。足りないが疲れで質が落ちても困るし、アテナが休まないと他のみんなも心が休まらない。休みは休むんだ。だが…」
「だが?」
「効率を上げる案があるなら即採用する」
自分だけで考えない。一人の意見が絶対じゃ必ず見落としがある。意見は吸い上げるべきだ。特に本人なんだから何かしら感じる事はあると思う。
「ん〜織り機なんだけど…人族ようじゃん…アラクネ用のがあればもっと早くなると思うんだ」
「アラクネ用なんてあるのか?」
「ないよ」
「ないんかい!」
「イヴなら作れるかなって」
「なるほど…よし!今からイヴと作成しよう!アテナはどうなってたら使い易いか教えてくれ!」
「わかったよ!ご主人様!」
それから試行錯誤しアラクネ用織り機を完成させた。人間の腕と8本の足をフルに使うアテナ専用機だ。アテナ曰く他のアラクネには使いこなせないそうだ。
織り機は出来たが裁縫は別に必要だ。取り敢えず業務用ミシンも作ってみた。多少早くなるが、別に人材がいた方がより早いだろう…
「主人殿よいか?」
次はリリスか…
「休みに働く事は認めないぞ」
先手必勝だ。
「ではどうすれば…」
「ポーションとかってどう作ってるんだ?」
「まず、すり鉢で潰して、次に半日煮詰めて、煮汁を濾過して、数種類混ぜ合わせ更に煮詰めて、最後に魔力を込めれば完成だ」
うお!思った以上に手間暇かかってた。
だがそれなら……
「イヴ!ミキサーと圧力鍋、あと大型の濾過機を2台づつくらい頼む!」
「了解しましたマスター」
コレでショートカット出来るだろう。リリスに使い方を教えたら感動された。通常の3倍は早くなりそうだと言う。
そんな事言われたら赤くしたくなるじゃないか。
冗談は置いといてコレも人員がいれば分担作業が可能だ。ぶっちゃけ最後だけリリスがやれば出来は変わらないだろう。
ウチの問題は人員不足だな……
「トール様よろしいでしょうか?」
次はイリムだと……店員も足りないのか?二人しかいないものなぁ
「国王様がお見えです」
国王様?レオさんだよね?ワザワザ国王様って言った?
「お願いがあるそうですよ」
嫌な予感しかしないんだけど……




