第19話 家電売場
あの後エドガーから使いが来て未加工の魔石50個を置いていった。
とりあえずデスクトップ型とノート型二種類のPCを作って宰相さんの処へ持っていく。
今回のPCは異世界仕様である。OSはイヴのオリジナル。ソフトは表計算と文章作成、あとリバーシ、ソリティアなど簡単なゲーム。ネットワークは魔力により設定されたアドレスにメールを飛ばせるくらいしかない。インターネットとかないからね。
宰相さんに説明すると物凄い感謝された。本当に大変なんだなレオさんの丸投げ。各部署に欲しいと言う事で、5台ほどデスクトップ型の注文を受けた。持ってたノート型は宰相さんが持ち歩きたいらしい。大口の受注なのでプリンタとノート用のバックをプレゼントしよう。今後もご贔屓によろしくお願いします。
宰相さんにPCをメインで使う役員達にイヴのインストールをしてくれと頼まれたが、ダンジョンの秘密にも関わるからと断った。大変だろうけど宰相さんが使い方を説明してあげて欲しい。レオさんや王子様達は秘密を知ってるから構いませんよって言ったのだが、それは流石に恐れ多いとの事だった。
レオさんはあれから毎日来店する事は無くなったが、たまに家族連れで来店される。レオさんの家族…妃様や王子、王女様達だ。王族が家族で来店とか他のお客様が逃げちゃうからやめて欲しい。レオさんには二人の妃様と三人の王子、二人の王女様がいる。王子、王女様はまだ幼く、一番上のシリウス王子でも10歳だ。独楽や剣玉なんかで遊んでいる。サリアにリバーシで負けてからは来るたびに挑んでいる。なかなか微笑ましい光景だ。
と、話が脱線した。
そんな感じで魔石を12個使って宰相さんの要望は叶えた。代金は銀貨70枚だ。パソコン一台10万円は安くないと思う。かかった材料は魔石一つ鉱石類だし。で、残りは魔石38個だ。
冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、エアコン、デジカメ、ノート型PC、プリンタを5個づつ作る。残り3つはアイテムポーチを作っておく。
展示するのは武器防具屋にしようかと思ってた三階だ。異世界に家電コーナーが出来上がる。
テレビは放送がないし、オーブンはこの世界に火魔石を使ったものがある。ストーブやなんとコタツもある。ドライヤーとか使う習慣が無いだろうし、掃除機は清掃の魔法があるから、なかなか家電の選出は迷った。
オーディオも考えたけど音源がない。オーディオやるなら先に楽器を作って音楽を流行らせなくては。
なかなか娯楽に優しくない世界だ。追い追い考えよう。ウィンタースポーツとかいいんじゃないかな?雪降るか分からないけど。
三階の余ったスペースには家具を作って置く。食器棚、クローゼット、タンス、キッチンラック、ベット、マットレス、レンジ台などなど。
三階に大型商品が並んでしまったので、アイテムポーチを配送、搬入に使う訳だ。アイテムポーチってポーチの口から入れなくても押し付ければ入るんだぜ。ファンタジーだよな〜
しかし、ウチの店の商品構成が可笑しい。衣類に雑貨に家具、家電、薬品類。何屋だよ?いっその事、もっと階層と種類増やしてデパートでも目指すか?
デパート、百貨店とも言う。ビル型の建物に様々なテナントを入れて多種多様なお客様の要望に応える形態。
ウチはやるなら全てウチの店だからデパートとも言い難いけど、まぁ似たようなものだろ。が、人員も材料も足りないので、今は無理だ。機会があったらまた考えよう。
こうしてオープンした家電売場だが、やっぱり出足は遅い。
そりゃ見たこともない魔道具だからな、すぐ売れるなんて俺も思ってないさ。それに今はまだ魔石の確保が難しいから売れても在庫が無くなってしまう。とりあえず見せる事を考えてたのに……
「全部くれ」
「………」
「聞こえなかったか?全部くれ」
「聞こえてますよレオさん……」
「じゃあ全部くれよ」
「いやいや、全部と言われましてもPCやプリンタは王宮に別途でご購入頂いてますし、冷蔵庫や洗濯機が何台もあってどうするんですか?カメラだって一台で十分でしょう?」
「客が欲しいって言ってるのに売らないのか?」
「お客様が無駄な購入しそうなら助言するのは私のポリシーですよ」
こう言う場合、後からあの時教えてもらわなかったとか言い掛かりに近いクレームになるもんだ。
「ですから、良いものでも数があれば良いって訳じゃないんですよ。王宮で使うのでしょうから、まず宰相さんと相談して下さい」
「だって欲しいだもん」
「子供ですか⁉︎」
全くこの王様は。貴方体格良いんだから可愛くないんだよ。寧ろ気持ち悪い。
「今は失礼な事を考えてなかったか?」
「……気のせいです」
「ならいいが、本当に売ってくれないのか?」
「冷蔵庫、洗濯機は一台ずつで良いでしょう。PCは要らないと思います。エアコンは宰相さんと取り付ける部屋を相談していらして下さい。壁に穴を開け室外機と言う物を設置しなくてはいけないので、外に面した部屋だけですよ。デジカメも宰相に相談して下さい。もしかするて記録を残すのに使うかもしれませんから」
「ぬぅ…彼奴を寄越したせいでトールが厳しくなった」
「唸ってもダメです。宰相さんに丸投げでなくたまにはご自分で政務をなさって下さい」
「だってコチャコチャした書類仕事が俺に向いてると思うか?」
「全く向かないと思います」
「何気に酷いな…」
「レオさんが言わせたんですよ」
「ふぅ仕方ない今日のところは引き上げるが絶対に買いに来るぞ!経費で!」
「経費で買うなら尚更宰相さん相談必要でしょうが!落ちなかったらどうするんですか⁉︎」
ガッハッハと笑いながら去っていくレオさん。大丈夫かこの王様。でも何気に人気あるんだよな。度々街に出ては民の意見を聞いたり問題を見つけて解決してるらしい。店なら理想の一つかもな。
店長にも色々なタイプがいる。一人で全てをやる人もいれば、周りに任せるタイプもいる。前者は鉄人だな。ぶっちゃけ疲れるし、キャパオーバーしたら回らなくなる。後者は周りが育つまで苦労するが育てばあとは草刈りでもしてればいい。
昔、また先輩が言ってた。部下が優秀ならトップは草刈りしてればいい。
草刈りも大事なんだよ。まぁこの場合は部下に主要な仕事を任せて成長を促し、トップは部下が動きやすいよう環境を整えるって意味だな。
一人で出来る事なんて限られちゃうよね。




