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おい異世界!商売舐めるなよ!  作者: クロアリ
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第16話 給料日と税金


アレからまた一週間ほどしてまた恰幅の良い男は現れた。自分の店で販売を始めたアテナの服がまったく売れずに不思議に思って確認しに来たらしい。男はまたも買い占めて行った。


まぁ無駄だがな。すぐさま在庫を補充する。この事態は最初から想定内だ。だから在庫を大量に用意したのだ。レオさんのお陰で他の商会を抑えられてるのも大きい。お陰で在庫は想定より潤沢に残っている。普通なら懸念する事態だが、ウチは仕入れがかかってないから問題ない。アテナの服は長持ちするし。後で消化する案もあるから問題ない。


男は翌週も現れた。また買い占めて行った。


その次の週も現れた。また買い占めて行った。


次は5日で現れた。また買い占めて行った。


そんな事を8回ほど繰り返し、今目の前で土下座している。



「申し訳ございませんでした!」


「何がですか?」


「このままでは私は破産してしまいます!」


「それで?」


「商品をお返しするので返金していただきたい…」


「お断りいたします」


「それをどうか……」


「お断りいたします」


「助けて下さい……」


「ふぅ、いいですか?私は貴方が欲しいと仰ったので商品をお売りしました。その事で貴方がどうなろうと私の知った事じゃありませんよ。それとも貴方は貴方の売った商品でお客様が破産したら、その負債を肩代わりでもするのですか?」


「そ、それは……」


「しないでしょう?そもそもこの事態を予測出来ない時点で商人に向いてないんですよ」



俺的には商人には2パターンある。流行を仕掛ける者と読む者。関係なく実直に経営する人もいるが、大なり小なりこの二つのどちらか、もしくは両方ができる。小さい事だと、季節商品の先取りとかかな?今でこそパターン化されてるけど、昔はもっとギリギリにやってた気がする。いつ何が売れるか見極めるのも商人だと思う。


今回のは俺が仕掛けた罠みたいなものだが、掛かる奴がいて初めて効果がある。まぁ市場破壊を仕掛けた時点でこうなる事を予想してたんだけど。ここ異世界だし、バカがバカするだろうなって思ってた。



「………」


「じゃ今回だけ助言してあげましょう」


「助けて下さるのですか⁉︎」


「勘違いしないで下さい。返金はしません」


「では……」


「別に私は貴方がどうなろうと知った事じゃないのです。それは良くも悪くもですね。いいですか?私は今のところ王都以外で店を構えるつもりがありません。また私には商品を他の街に運び売る手段がありません。分かりましたか?」


「そ、それでは⁉︎」


「えぇ、貴方の自由にして下さい。もう分かりましたね」


「ありがとうございます!」


「礼は要りませんよ。貴方が買った商品を貴方がどう扱おうが私の知るところじゃありませんからね」



男は入り口で頭を下げ店を出て行った。ってかそれくらい自分で気付けや!思考停止は仕事の敵だ!白金貨分使うまで気付かないとかバカじゃないのか?あぁバカだった。


男はアテナの服を銀貨10枚で売っていた。ウチの10倍だ。市場的にアラクネの糸の服はもっとするらしいが、それは男の最後の良心だと思う事にする。しかし、それだけ高単価なら他の街に持って行っても利益がでるだろう。輸送費がどれくらいかかるか分からないが、まぁ大丈夫だろ。


それより、アテナの服はウチのロゴ入りだ。タダで宣伝してやったぜ。迷惑料としては丁度いいだろう。


男も他の街で売れる事が判明したらまた買いに来るだろう。在庫が無駄になる事はなくなったな。



でだ、そんな事があったから営業開始から一ヶ月は過ぎてるわけですよ。

当然給料日がありました。皆んなを集めて麻袋にお金を詰めて渡します。両手で感謝の言葉を添えて気持ちを込めて渡します。


だが…



「ご主人様ちょっと少なくない?」


「そうか?予想より収入があったから奮発したんだが……」


「だって軽いよ?三枚くらいしかないよね?」


「ん、まぁ三枚だが…」


「アテナ、中身を見てからいいなさい」



イリムがアテナを注意する。



「そうだぞ。金貨三枚だぞこれは」


「えっ⁉︎」


「ん?金貨三枚で少なくないって言われたんじゃないのか?」


「えっ、いや、銅貨だと思って……」


「主人殿、奴隷に給金など支払う人はいないのだ。銅貨三枚でも普通なら驚くぞ。金貨なんて入ってるとは夢にも思わんさ」


「なるほどな〜初めは銀貨25枚〜30枚くらいを考えてたんだけど、俺としては、それだけ儲けたんだから、ちゃんと皆んなに還元したいんだよ」


「私こんなに貰っていいんですか⁉︎」


「いいんだよサリア。家事仕事の分、銀貨8枚プラスで入ってるからね」


「ありがとうございます!」


「私いらないのだけど…使わないし、畑にいるだけで幸せ」


「リュアス……金額分肥料でも買ってこようか?」


「お願いします」


「イリム達は貯めるのか?」


「そうですね〜使い切ろうにも無理だと思いますから貯めましょうか?」


「大金だけど自分達を買い戻すにはまだまだ足りないものな。レオさんに言えば奴隷解放くらいできそうだぞ?」


「主人殿はよいのか?秘密の保持は?」


「サリアやリュアス、レオさんまで知っちゃったし今更かなって。言いふらされたくはないけど、しないでしょ?それくらいの信頼はあるよ」


「私はまだいいや。特に不便ないし」


「そうですね」


「主人殿がどうしてもという時で構わない」


「いいのかリリス?夜誘っちゃうよ?」


「それをしないのも分かっている。此方もそれくらいは信頼しているさ」


「なんかそれはそれで男として寂しね」


「夜何かするのですか?」


「サリアちゃんにはまだ早いかな?ご主人様…子供の前だよ」


「すまん」



そんなやりとりの給料日だった。


一ヶ月経ったと言う事は税金の支払いがある。この世界では脱税がないか監査官が収支の調査に来るそうだ。しかし、俺は収支をパソコンでつけている為ウチの秘匿部分に触れてしまう。そこでレオさんに頼んで信頼出来る人を監査官に送ってもらう事にしたのだが…



「よろしくお願いします」



来たのは初老の身なりの良い紳士。どう見ても偉い人だった。話を聞くと宰相さんだった。イヤ、確かにあの時宰相にも話すって言ってたし、秘匿が拡散する事もないから都合いいけどさ〜


宰相にパソコンを見て貰うが、俺仕様の為に日本語で表示される。コレを教えるのも、作り直すのも時間がない!


と言うわけでイヴにより異世界パソコン知識と言語を強制インストール!ビリリっとして気絶した宰相さんは半日後に目を覚ました。事情を説明して再度パソコンに向かって貰うと理解出来たようだ。異世界文字が読めるようになった事でインストールの件も笑って許してくれた。心の広い人だ。


ただ、パソコンをどうしても売って欲しいと何度もお願いされた。コレがあれば仕事が三倍早く片付くとかなんとか。国王に仕事を丸投げされていつも大変なんだそうだ……レオさんだもんね国王。お疲れ様です宰相さん。


ダンジョン機能で動いている事を説明し、もし別に動力が確保出来れば作ると約束してその場はなんとか納得して貰った。この人の為にもなんとかしようと思う。人の為にって言うのは商売の大事な要素だと俺は思うのだ。



そんな感じで今日もスクランブルは通常営業中です。

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