第14話 トラブル
さてさて、初日大成功で終わって本日は打ち上げに来ております。サリアに作って貰うのもなんだかなぁっと思ったので外食です。
イリム、アテナ、リリスと俺にはエール。サリアにはアップルジュース。リュアスはオレンジジュースだ。
ドリアードでも飲めるの?って思ったが問題ないらしい。植物だって地面から養分摂ってるでしょって言われた。
うん、そうだね。
でもそうするとダンジョン内で育つ薬草達はどうなってるんだろう?DPが栄養になってる?あとでイヴに聞こう。DPなら維持費が変わるから経費計上しなくては。
「改めて今日はお疲れ様。皆んなのお陰で大成功を収める事が出来ました。スクランブルは今日が門出です。これからもっともっと楽しい事も大変な事もあるでしょう、それを皆んで……」
「長いよご主人様!」
アテナから文句が出る。う〜ん、ペーペーの頃は俺もそう思って、俺は飲みの席で長話はやらないぞって思ったんだが、なかなか上手く出来ないもんだな。
「悪い悪い。じゃあ余計な話は終わりにして、今日はお疲れ様!これからよろしく!乾杯ー!」
「「「「「乾杯!」」」」」
皆んなが飲み物を飲んだり食べ物を取り分けたりしてる。
「おじちゃん、どうぞ」
サリアが俺に料理を取り分けてくれた。本当に出来た娘だ。だが、せめてお兄ちゃんにしてくれないかな?
「ありがとうサリア」
頭を撫でてやる。
ちょっと顔を赤くして照れているようだ。……ロリコンじゃないからな。大事な事だから二回言う。ロリコンじゃないからな!
取り分けられた料理を食べている。香辛料もそうだけどこの世界では揚げ物もある。ありがたい。ビールには揚げ物が合うよな。エールだけど。
醤油がないからちょっぴり物足りない唐揚げを食べる。これはこれで美味いと思う。
そこからガヤガヤ騒ぎながら夜が更けていくが、アテナが潰れる前に帰る事にした。アテナが潰れてら運べないからな。
店の前まで行くと三人くらい人影があった。
まさか初日から来るとは……
人影はウィンドガラスを叩いたり、鍵を開けようと試行錯誤してるように見える。
無駄だ。ダンジョンになった店舗はそんなんじゃ壊れない。仮に内部に入られてもレジや金庫を破壊する事は不可能だ。商品は持ち逃げされるかもだけど。
俺たちが近づくと人影はそそくさと退散して行った。さて、今はこの程度だが過激になってきたら腹くくらなきゃな。
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あれから一週間ほどたった。日々の売り上げは金貨1〜2枚ほどに落ち着いている。売れない心配より、在庫量が不安だ。そろそろアレが来ると思うんだが…
「なぁにぃちゃん。にぃちゃんとこ本当にこんな値段でやってけるのか?」
話掛けてくるのはこの一週間毎日来て常連になった冒険者のオッサンだ。名前はレオパルドって言う。身長180越えの厳ついオッサンには似合わないのでレオさんと呼んでいる。
「レオさん、ご心配ありがとうございます。ですが、大丈夫ですよ。寧ろこれ以上頂いては私の商人としての矜持が損なわれます」
「そんなもんかねぇ〜商人なんて儲けを出す事ばかり考えてると思ってたよ」
「心外ですね。他の方は知りませんが私はお客様とwin-winな関係を望みますよ」
「win-winってのがなんだかわからねぇが、まぁ分かった。俺たち客からしたらありがたい話だしな」
「えぇそれが私の本当の商品ですから」
お客様満足度。カスタマーサティスファクション。約してCS。商売において重要な要素だが、数字に出来ないので測りにくいものだ。
昔先輩が言っていた。俺たちはお客様に商品を売ってるんじゃねぇしお客様は商品を買ってるんじゃねぇ。お客様は商品がもたらす効果で満足する為に買ってくんだ。だから商品に満足出来なかったらクレームにもなる。俺たち販売員はお客様が満足する為の手助けをするのが仕事なんだ。俺たちはお客様の満足を売っているんだ。と力説された。
言ってる事は無茶苦茶だが理解はできる。折角買った商品で満足いく効果が得られなきゃ誰だっていやだ。高いものほどいいのは大体のお客様は分かっている。財布と折り合いつけて、最低でも値段相応の効果を期待してるのだ。
満足させるのは言葉にすれば簡単だ。その期待値を上回ればいい。難しく考える必要はない。お客様の期待を常に超え続けるのが優秀な店と言う訳だ。
それは対応だったり、商品構成だったり、時間的便利、立地的便利だったり様々だ。
でだ、うちのセールポイントが市場破壊的な低価格だ。輸送費0、PBのみで仕入れもなし、材料費は雑貨の木材や鉱石のみ。人件費とDP稼ぎに魔物討伐を依頼してるがそれくらいだ。ローコスト経営ここに極める。
「よく分からんがこれからも来るぜ」
「なんか買って行って下さいよ」
レオさんは何故か毎日来る。しかしウチの商品にそんなに消費が早い物はない。何しに来てるかと言いと大半俺と喋っている。冷やかしと言えばそうだが、こっちの世界に知り合いが従業員しかいない俺にはありがたい。
「最初こそアラクネの服に目がいっちまったが、よく見りゃヘンテコで面白えのがいっぱいあんじゃねぇか。見てるだけで楽しいんだよ俺は」
「買ってくれたら俺も楽しいですよ」
「余裕あったらな」
なんて会話をしてると恰幅がよく裕福そうな服装の男性が武装した男を2人つれて入店してきた。
「いらっしゃいませー」
イリムが挨拶をする
「この店の店主はいるか?」
男性は言い放つ。あぁとうとう来たか。俺はすかさず前に出る。
「私がスクランブルの店長をしております、トールと申します」
「お主が店主か、まだ若いな。単刀直入に言う。アラクネの服の利権を寄越せ」
なんとも大柄な物言いだ。
「理由をお伺いしてもよろしいですか?」
「お主如きが扱うには過ぎた物だ。ワシならもっと利益を出せる!だから寄越すのだ」
はぁ……バカがいる。
「お断りいたします」
「なっ!」
「私に利がありません。そもそも名乗りもせずに失礼ではありませんか?取引相手としても最低だ」
「言わせておけば、これは取引ではない!命令だ!」
後ろにいた男達が前に出て来る。はぁ、言う事聞かなければ即武力こうしですか?哀れ過ぎるぞ…
「まぁ待てよ」
レオさんがその場を制止する。ってレオさん?
「レ、レオパルド閣下⁉︎」
レオパルド閣下?なにレオさん偉い人?




