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怪談  作者: ぱとん
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うずくまる女

 その日、Bさんは借りてきた映画を見ていると、煙草がきれていることに気が付いた。深夜0時を過ぎていたが、どうしても吸いたくなり煙草を買いにコンビニまで行くことにした。


 Bさんにはお気に入りの銘柄があり、その煙草が置いてあるコンビニまではまっすぐな1本道で、大体10分程度の距離があった。深夜の住宅街ということもあって人影はなく、一人で夜道を歩いていた。


 しばらくすると、少し先の十字路の真ん中に街灯に照らされた何かがあるのに気付く。目を凝らしてみると、それは土下座をするようにうずくまる赤い服を着た女性だった。長い髪のせいで顔は見えず、人通りもない住宅街でそれは異様な光景に見えた。


 不気味ではあったが、幸いここは賽の目のような場所になっている。女がいる十字路を避けて進み、また元の道に戻れば良いと、Bさんは迂回することにした。一度右に曲がり左へ、1本外れた道をいく。あの女が見える十字路に差し掛かった時、Bさんが左を向くとやはり女がうずくまっていた。ただの酔っ払いだろう。とりあえず先に煙草を買ってから、後で様子を見に行けばいいと思い、次の十字路で元の道に戻ろうと先を進んだ。


 次の十字路に着き、元の道に戻ろうとしたとき、Bさんは唖然とした。先ほど、十字路で見かけた女が同じようにうずくまっているのだ。寒気を感じ、逆方向へ走り出し別のコンビニへ向かった。コンビニで少し落ち着いたBさんは、逆方向からアパートに帰ることにした。またあの女が現れないかと警戒していたが、アパートまでの十字路に女はおらず、無事にアパートまでたどり着くことができた。


 しかし、アパートに入る際、ふと背後が気になり後ろを振り返ると、直前に通ったはずの十字路に赤い女がうずくまっていた。


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