第22話 ろくろ首
会話率100%の「ろくろ首」
人物・背景などは想像力全開フル回転でどうぞ。
***
友人:「よぉ、裕樹! 就職先が決まったんだって?」
裕樹:「あ? もう働いてっけど」
友人:「マジ? 何の仕事だっけ」
裕樹:「消防。年末年始は忙しくなるぜ。火の不始末が多いからな」
友人:「もう出動とかしてんの?」
裕樹:「ああ、してるよ。先日は婆ちゃん見つけて助けた」
友人:「”見つけて”…… 火事ん中に入るのかよ!?」
裕樹:「いや、入らない。ってか、基本は偵察役でさ。
人が入れなかったり、梯子車が届かない所専門に
逃げ遅れた人がいないか探すんだ」
友人:「……意味分かんね。どうやるんだよ」
裕樹:「だからさ、こうやって首を伸ばしてさ」
友人:「う……うあああ!!」
裕樹:「今さら怖がるな、親友だろ。 それに俺、彼女出来たんだぜ」
彼女:「あ、裕樹くーん!」
裕樹:「よ!」
友人:「マジ? めっちゃ可愛いじゃん」
彼女:「ねぇ裕樹くーん。首が寒~い」
裕樹:「しょうがねぇなあ、巻いてやるよ」
彼女:「きゃあ裕樹くんの首、あったか~い」
友人:「おい! テメェら絶対変だから!
”首”をマフラー代わりって、絶対ありえねぇから!!」
裕樹:「喧しいヤツだな。便利なんだぜ。
こんなに密着してるから……チュッ」
彼女:「やん、もうっ裕樹くんたら」
友人:「うあああ!なんてうらやましいコトをおおお!!」
裕樹:「吠えるな。お前も早く”お1人様”から卒業しろ。じゃ、またな」
彼女:「バイバイ、裕樹くんのお友達」
友人:「くそ! 俺だってクリスマスまでには彼女作ってやるからなっ!」
<終>




