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色ノ唄ガ聴コエル  作者: 灰兎
第3章-銀の瞳-
9/15

5月15日




昔の夢を見た。



ヨハネス国に来てすぐの頃の夢。


殴られ蹴られ石を投げられ、


殴り返し蹴り返し石を投げ返した日々の夢。




ガキの俺は近所の子供からイジメられていた。




俺はヨハネス国の生まれではない。


海を越えた’’ルカ国‘‘から来た。


ルカ国は女神の飼い狼が創ったという伝説が残っていて、国民はその狼と人間の皇女の子孫なのだとか。


そのためか髪はシルバーグレイ、瞳は灰色である。おまけに肌は白ではなく褐色で、まるで狼。


だから、ヨハネス国に来たときは気味悪がられた。

ヘロデが即位する前は偏見なんぞなかったと聞くが、人はコロッと変わるもんだ。




ーー



「思い出したくなかったんだがなぁ‥」 



小会議室で居眠りをしちまったのはさておき


あまりの寝覚めの悪さに気分は最悪。


「はぁー‥‥頭痛ぇ」

小会議室のカーペットにもう一度寝ころぶ。

もはや起きる気力がない。


もう一眠りするか。


眼を閉じようとする。




刹那、小会議室の扉が開いた。


「っ!(ヤベッ)」

慌てて机の影に隠れる。

寝ている所を見つかったら減給どころでは済まないだろう。


じっと息を潜める。



「子供は何人になった」

聞いたことのない男の声。


続いて赤眼鏡の女の声。


「30人。兵になった子は24人です」

「‥‥足りないな」

「また、連れてきますか?」

「あぁ。貧民街に行かせろ」

「‥はい」


何の話なのか全く分からない。

子供‥‥‥兵士?貧民街?



「急がねばなるまい。ヘロデが感づく前に」


「承知しております」

「ニアはどうした」


ニア?


「体調は安定してます。蒼世の眼も適合したようです」


「‥‥後は、紅浄の眼か」

「すぐに’’呼び‘‘ますか」

「いや、まだ早い。手順を踏まねば’’完全‘‘にはなれないからな」



’’完全‘‘?

病気が完治するとか、そういった類の話ではないだろう。

しかも‘‘蒼世の眼’’とか‘‘紅浄の眼’’とか訳が分からない。


「‘‘エファ’’はもうじき‥‥」

「ナユダ博士、そろそろ‥」

「あぁ、そうだな。総統のお出ましか」


靴音が消え、俺は息を洩らした。

誰もいないことを確かめ、机の下から這い出る。



「今、‘‘エファ’’とか言ったよな」


確かタルシュの人にとって救世主とされる神。

それが何でニアと関係するんだろうか。


「‥‥‥‥」


‥‥やはり、ニアに直接聞くか。

会うなと言われたが、構いやしない。


立ち上がり小会議室を出た。



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