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色ノ唄ガ聴コエル  作者: 灰兎
第1章-白の空間-
3/15

2人分の靴音が廊下に響く。


銀灰色の扉の奥は

内装は白い壁と床は扉の外と同じだった。

しかし、決定的に違うことがあった。


「窓が‥」


前を歩く女性は、俺が言わんとしていることが分かったのか無言で頷いた。


そう、ここには窓が全くなかった。


そのせいか、息苦しく感じる。

延々と続く白い廊下に頭がおかしくなりそうだ。

女性の話も危うく聞き逃してしまいそうなくらい、ここは正常ではいられなかった。




「では、今日からよろしくお願いします」


女性はそれだけ言うと廊下の奥に消えた。




宿直室はこれまた無機質という言葉が似合う場所だ。

白いベッドとアルミ製の事務机、ロッカーがある部屋にキッチンとシャワールームが隣接しているだけ。この部屋にも窓はない。 


ひとまず荷物を下ろし、ベッドに寝ころんだ。


「はぁ‥」



無機質な外装。



無機質な部屋。



無機質な、人。



「‥‥俺、やっていけんのか?」

当然、答えは返ってこない。


初日から不安なことばかりだ。 

とりあえず、見回りの時間までのんびり構えようか。

私は寝ころんだまま目を閉じた。





ーーーー

ーーー

ー‥‥



「はっ!」


寝過ごした!?

慌てて時計を見ると見回りの時間から10分過ぎている。

初日から寝坊とは、シャレにならない。

口から垂れていた涎を拭い部屋を飛び出す。


「ぉわっ!?」

ドアを開けた瞬間、何かとぶつかった。

見ると少年が床に倒れている。


「あ、ごめんな!怪我ないか?」

少年を助け起こし、その容姿が普通とは違うことに気づいた。


10歳くらいだろうか。肌は陶磁器のように白い。肩まで伸びたストレートの髪は緑。大きく見開かれた目は紫色に光っていた。


茶髪に薄緑色の目を持つヨハネス国の人間ではないのは確かだ。

此処の子供なのか、患者服を身に付けていた。 


「‥‥」

少年は無言で立ち上がり廊下を走っていってしまう。


「外国人‥か?」

そう自分を納得させ、俺は慌てて仕事を始めた。



ーー


仕事内容が簡単なのは助かるが

この無機質極まりない空間はどうにかしたい。

それにしても、あの子はどうしただろうか。


明日は寝坊しないよう、今日はここまでにする。










実際の時代では有り得ない技術が出ますが、突っ込むなんて無粋な真似はご遠慮くださいな

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