世界の終わりそしてはじまり
この世界に自分の住んでいる世界がなくなるなんてことを考えて生きている人間がいるのだろうか。
まーほとんどいないだろう、一部の学者、破滅論者ぐらいだろうか。
世界がなくなる時、自分の大切なモノ、ヒトを同時に失うのだろうか。
誰にそんなことなどわからない。
でももしそんなことが現実に起こるとしたら、あなたはどうしますか?
EP.1
頭の上、遥か上を飛行機が通り過ぎる、
乾いたどこか涼涼しい音が聞こえる。
空は広い、
決して届くことのないもの、触れることなどできやしない、
そんな存在を見上げてる、それで見下されてる。
本当はあいつを見下してやるほど、高く高い場所にいきたい。
そんな風に見上げてる。
ここは日本。詳しい場所は秘密。
アルバイトに向かう途中。
いつもと変わらない線路沿い、電車の本数は結構多いほうだ。でも僕は電車通勤じゃない。
信号で一時停止、周りにはしけた顔したサラリーマン、子供を連れた若い女、三人組の女子高生、ケータイの画面を直視しながら喋っている。
長い信号。
点滅が始まる、
この先に僕のバイト先がある。
いつもの風景、変わらない空気、感覚。
全てが毎日同じ、変わるものといえば、天気ぐらい。
もうすぐ青になる、信号が変わる、
変わる、何かが変わった、
この時、僕のみている世界が変わった...
EP2.
周りの人間が消えた、
僕の周りから人間が消えたんだ。
訳が分からないかった、
恐怖がこみ上げてる、
不気味な寒気が背中を這いづりまわる。
走った僕はひたすら走り、バイト先へとかけ入った。
「前島さんっ、今道で人が、まっ前島さん?」
前島はそこにいなかった、店長であり僕とシフトが全てかぶってて、いつも勤務時間に遅れない、そんな前島さんがいない、
前島さんのケータイに電話を入れる、
留守電、
留守電
留守電。
何処に行ったの?
ケータイのニュースを見る、特にオカシナニュースは流れていない、
何が起きた、全くわからない。
バイト先についてから3時間がすぎた、
ツクツクボウシが鳴き始める。
孤独
孤独
そして恐怖。
何が起きてる
のだろうか。
グォーン
自動ドアが開いた、
誰だ、前島さん?
「すいません15番号のやつ一つ」
お客さん?
そこには若い、20代半ばに見える、女、
OL風の女が立っていた。
「いらっしゃいませー、はい15っじゅっ、15番で御座いますね、お会計はー」反射的に答える。
はっ、とっさに我に返る。
「あっ、あのーすいません」僕は尋ねる。
「何ですか?」女が面倒そうに答える。
「今日なんかおかしくないですか?」
「はっ?、、」女は呆れた感じで吐き返す。
「あっすいません」
いきなり女の表情が変わった。
そして
「あーそゆことね、ごめんごめん、いきなり人が消えたって言いたいんでしょ」
「そっそうです、」
「みんな喰われたのよ、くわれたの、」
女が答える。全く平然としている。
喰われた?なにを言っているのだこの女は、
「あっあのー喰われたともうしますと?何が何だかあー」僕は訳が分からなかった、答えなんてどうでもよかった、ただ確認したかった、今起きていることが現実なのかどうかって。
EP2
喰う、すなわち、捕食。
ある個体が他の個体を食べる、自身のエネルギーとして取り込むという行為、
「喰われたって?何に?」
「新しい人間」「とでも言うべきかしら」女が自信げき答える。
「人間、それは在る世界を支配している存在に当てられる代名詞のことよ。さっきまでは私たちが人間だったの、でも今はちがうわ、」
「彼らが人間」
荒唐無稽なはなし、意味が分からない。
「何を言ってるんですか?」思考が絡まる。
「一部のやつらは知ってたの、自分たちが見ている世界の終わりを、そして新たな世界のはじまりを。
永遠なんてないのよ、
我々の一部は、教育されてきたのよ、ずっと選ばれしものたちは、世界の終わり、そして解決策、つまり生き残る方法」
「どういうことです?」
「君はしらないんだね、運がよかったんだ、そっか、じゃあ教えてあげるよ、教えられる範囲で」女がニヤリとする。