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循環の理  作者: 生クリーム王子
第一章 辺境の少年

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第7話 禁書庫の真実

 禁書庫の扉を開けた瞬間、冷たい空気が流れ込んできた。

 まるで、何百年も閉ざされていた空間から漏れ出す、古い息吹のようだった。

 僕は小さな光の魔法を灯し、中を照らした。

 部屋は、想像以上に広かった。

 天井まで届く本棚が、迷路のように並んでいる。そこに並ぶ本は、どれも古く、埃を被っている。

「すごい……」

 思わず、呟いた。

「ここが、禁書庫」

 セレナが、静かに言った。

「王国が封印してきた、危険な知識の集積所。ここにある本は、決して外に出してはならない」

「なのに、君は何度も来たことがあるような口ぶりだね」

 セレナは、微笑んだ。

「鋭いわね。ええ、何度も来ているわ。何度も——本当に、何度も」

 その言い方には、何か含みがあった。

 でも、今は追求している暇はない。

「時間魔法の本は、どこに?」

「こっちよ」

 セレナは、迷わず奥へと進んでいった。

 僕は、後を追った。

 本棚の間を進むと、部屋の最奥に到達した。

 そこには、特別な台座があった。

 ガラスのケースに収められた、三冊の本。

「あれが、時間魔法の三大書よ」

 セレナが、指を差した。

「左から、『時の観測』『時の制御』、そして——『時の循環』」

 時の循環——

 その言葉に、心臓が高鳴った。

「『時の循環』……それが、僕の能力に関係している?」

「多分ね」

 セレナは、ケースに近づいた。

 そして、手をかざす。

 魔法陣が浮かび上がり——ケースが開いた。

「どうやって——」

「私には、特権があるのよ。詳しくは、後で話すわ」

 セレナは、右端の本——『時の循環』を取り出した。

 黒い革表紙の、分厚い本。

 表紙には、複雑な円環の紋章が刻まれている。

「これを、読みなさい」

 彼女は、本を僕に手渡した。

 重い。物理的な重さだけじゃない。何百年もの知識の重さが、ずっしりと手に伝わってくる。

 僕は、そっとページを開いた。


 本は、古代語で書かれていた。

 でも——不思議と、読める。

 学院で学んだ古代語の知識が、役立っていた。

 最初のページには、こう書かれていた。

『時とは、川の如し。常に前へ流れ、決して戻らず。されど、川が海に注ぎ、雲となり、再び雨となるが如く——時もまた、循環する』

 僕は、次のページをめくった。

『時の循環魔法とは、この時の流れを巻き戻す、あるいは繰り返す術なり。しかし、これは自然の理に反する。故に、極めて危険なり』

 ページをめくるごとに、内容は複雑になっていく。

 時間魔法の理論。

 魔法陣の構造。

 必要な魔力量。

 そして——

 『注意:時の循環魔法は、術者の意志で発動するものにあらず。むしろ、世界の意志により発動す。術者は、ただの触媒に過ぎず』

 世界の意志——?

 僕は、さらにページをめくった。

 そして、ある章にたどり着いた。

 『永劫回帰の呪い』

 その文字を見た瞬間、背筋が凍った。

「それよ」

 セレナが、僕の肩越しに覗き込んだ。

「あなたが知るべきことは、そこに書いてある」

 僕は、震える手で読み進めた。


『永劫回帰の呪い——これは魔法にあらず、呪いなり』

『稀に、世界は特定の魂を選ぶ。その魂は、人生を何度も繰り返すことを強制される』

『死すれば、特定の時点に戻る。記憶を保ったまま』

『これは、世界が大きな転換期を迎える時に発生す。世界は、最善の未来を模索するため、魂に何度も人生をやり直させる』

 僕の手が、止まった。

 これだ。

 これが、僕に起きていることだ。

「続きを読みなさい」

 セレナが、促した。

 僕は、次のページを開いた。

『永劫回帰の呪いを受けた者は、「循環者」と呼ばれる』

『循環者は、何度も人生を繰り返す中で、世界の最善の道を見つけることを期待される』

『しかし——これは呪いなり。循環者は、決して真の安息を得ることなし』

『たとえ完璧な人生を達成しても、再び死ねば、再び戻る。永遠に』

 永遠に——

 その言葉が、重く圧し掛かってきた。

「嘘だ……」

 僕は、呟いた。

「じゃあ、僕は——もし今回の人生で成功しても、また死んだら戻るのか?」

「そうよ」

 セレナが、静かに答えた。

「それが、永劫回帰。終わりのない循環」

「そんな……」

 本が、手から滑り落ちそうになった。

 でも、セレナがそれを支えた。

「まだ、最後まで読んでいないでしょう。脱出方法も、書いてあるわ」

「脱出方法?」

 僕は、慌てて本を見た。

 次のページには——

『永劫回帰からの脱出には、二つの方法あり』

『第一の方法:世界の転換期を終わらせること。世界が次の段階へ進めば、循環者の役目は終わる』

『第二の方法:循環者自身が、循環を拒絶すること。ただし、これには代償あり——循環者の魂は消滅し、二度と生まれ変わることなし』

 魂の消滅——

 それは、完全な死を意味する。

「どちらも、簡単じゃないわね」

 セレナが、本を閉じた。

「世界の転換期を終わらせる——それは、この世界が直面している危機を乗り越えるということ。つまり——」

「戦争……」

 僕は、呟いた。

 六年後に始まる戦争。

 あれが、世界の転換期なのか?

「そうかもしれないわね」

 セレナは、本を台座に戻した。

「でも、もっと大きなことかもしれない。戦争は、ただの始まりかもしれないわ」

「もっと大きなこと?」

「ええ。世界そのものの、構造的な危機」

 セレナは、振り返った。

「エリオ、あなたはまだ知らない。この世界は、約五千年ごとに滅びと再生を繰り返しているということを」

「何だって?」

「文明が繁栄し、やがて滅び、また新しい文明が興る。それが、この世界の歴史よ。そして今——私たちは、次の滅びの時代に近づいている」

 セレナの言葉は、あまりにも突飛だった。

 でも——なぜか、信じられた。

 この世界には、何か大きな秘密がある。

 それを、僕はずっと感じていた。

「君は、どうしてそんなことを知っているんだ?」

 僕は、セレナを見つめた。

「君は、一体——」

「私は、観測者よ」

 セレナが、静かに答えた。

「永遠に生き、世界の循環を見守る者」


 セレナは、禁書庫の隅にある椅子に座った。

 僕も、向かいの椅子に腰を下ろした。

「観測者——それは、どういう意味?」

「文字通りよ。私は、この世界を観測する役割を担っている」

 セレナは、自分の手を見つめた。

「私は、もう三百年以上生きているわ」

「三百年……!?」

「驚くでしょうね。でも、本当よ」

 彼女は、悲しそうに微笑んだ。

「私も、あなたと同じように——呪いを受けているの。ただし、あなたとは違う呪い」

「違う呪い?」

「あなたは、時を繰り返す。私は、時を進み続ける。死ぬことができずに」

 セレナの目には、深い疲労が宿っていた。

「不老不死——それも、呪いよ。愛する人が次々と死んでいくのを、ただ見ているだけ。自分だけが、永遠に生き続ける」

 僕は、言葉を失った。

 永遠に生きることが、呪い?

 でも——彼女の目を見れば、それが真実だと分かる。

「なぜ、君がそんな呪いを?」

「私の祖先が、禁断の魔法を使ったからよ。その代償として、子孫の一人が『観測者』となる呪いを受けた。それが、私だった」

 セレナは、天井を見上げた。

「三百年前、私は普通の少女だった。家族がいて、友達がいて、恋人もいた。でも、十五歳の誕生日に——呪いが発動した」

「それから、ずっと?」

「ええ。十五歳の姿のまま、三百年。世界が変わっていくのを、ただ見ていた」

 彼女の声は、静かだった。

 でも、その奥には——言葉にできない痛みがあった。

「でも、なぜ学院に?」

「観測者の役目は、世界の転換期を記録すること。そして——循環者を見つけ、導くこと」

 セレナは、僕を見た。

「あなたを見た瞬間、分かったわ。あなたが、この時代の循環者だって」

「導く……? どこへ?」

「最善の未来へ。あるいは——呪いからの解放へ」

 セレナは、立ち上がった。

「エリオ、あなたには選択肢がある。永劫回帰を続けるか、抜け出すか」

「でも、抜け出すには——」

「世界の危機を乗り越えるか、魂を消滅させるか。どちらも、厳しい道よ」

 僕は、拳を握った。

 選択——

 でも、僕にはもう決めていることがある。

「僕は、戦う」

「戦う?」

「世界の危機——それが戦争であれ、何であれ、僕は立ち向かう。そして、乗り越える」

 僕は、立ち上がった。

「リーシャを守りたい。家族を守りたい。村のみんなを守りたい。そして——」

 僕は、セレナを見た。

「君も、この呪いから解放してあげたい」

 セレナは、目を見開いた。

「私を……?」

「三百年も苦しんできたんだろう? もう、十分だ。君だって、安らかに——」

「無理よ」

 セレナが、首を横に振った。

「私の呪いは、あなたのとは違う。解除方法は、ない」

「でも——」

「いいの」

 セレナは、優しく微笑んだ。

「私は、もう慣れたから。それに——」

 彼女は、僕の手を取った。

「あなたのような人に出会えた。それだけで、この三百年に意味があったと思える」

 その手は、冷たかった。

 でも、温もりを求めているようだった。

「セレナ……」

「さあ、戻りましょう。もうすぐ夜明けよ。見つかったら、大変だわ」

 彼女は、手を離して歩き出した。

 僕は、その背中を見ながら——決意を新たにした。

 戦う。

 世界の危機と戦い、セレナも救う。

 そのためには、もっと強くならなければ。

 もっと、知識を得なければ。


 寮に戻ると、空が白み始めていた。

 部屋に入り、ベッドに倒れ込む。

 疲れていた。

 でも、眠れなかった。

 頭の中で、禁書庫で読んだことが渦巻いている。

 永劫回帰の呪い。

 世界の転換期。

 五千年ごとの滅びと再生。

 そして——セレナの三百年。

 全てが、重すぎる。

 でも——逃げられない。

 僕は、循環者だ。

 選ばれてしまった。

 ならば——

 窓の外を見ると、朝日が昇っていた。

 新しい一日の始まり。

 この日も、また授業がある。

 魔法を学び、訓練をして、少しずつ強くなる。

 そうやって、六年後に備える。

 いや——もっと早いかもしれない。

 セレナが言っていた。戦争は、ただの始まりかもしれない、と。

 ならば、もっと急がなければ。


 その日の授業、僕は上の空だった。

 マーカス教師の魔法理論の講義も、フェリックス教師の実技訓練も、頭に入ってこなかった。

 昼休み、レインが心配そうに声をかけてきた。

「エリオ、大丈夫? 顔色悪いよ」

「ああ、ちょっと寝不足で」

「無理しないでね。午後は休んだら?」

「大丈夫、ありがとう」

 食堂で昼食を取っていると、セレナが隣に座った。

 レインは、少し驚いたように僕たちを見た。

「あ、セレナさん。珍しいね、誰かと一緒に食事するなんて」

「……そうね」

 セレナは、スープを口に運んだ。

 しばらく、三人で無言で食事をしていた。

 気まずい沈黙。

「あの、エリオとセレナさんって、友達なの?」

 レインが、恐る恐る聞いた。

「友達……かしら」

 セレナが、僕を見た。

「どう思う、エリオ?」

「うん、友達だと思う」

「そう。なら、友達ね」

 セレナは、小さく笑った。

 レインは、不思議そうな顔をしていた。

「二人とも、なんか変だよ。何かあった?」

「別に」

 僕とセレナが、同時に答えた。

 レインは、ますます不思議そうにしていたが、それ以上は聞かなかった。


 午後の選択科目の後、僕は一人で訓練場に残っていた。

 火球を何度も放ち、制御を磨く。

 エリシアほどの威力は出せない。

 でも、制御は完璧に近づいている。

「まだ訓練してるの?」

 声がして、振り返った。

 エリシアが立っていた。

 彼女が、こちらから話しかけてくるなんて——初めてだった。

「あ、ああ。もう少し、練習しようと思って」

「……熱心ね」

 エリシアは、訓練場に入ってきた。

「でも、無駄よ」

「え?」

「あなたの魔力量じゃ、私には勝てない」

 彼女は、冷たく言った。

「どんなに練習しても、才能の差は埋まらないわ」

 その言葉は、残酷だった。

 でも——多分、彼女は本気でそう思っている。

「勝つためにやってるわけじゃないよ」

 僕は、答えた。

「ただ、守りたい人がいるから」

「守りたい人?」

「うん。大切な人たちを、守るために強くなりたい」

 エリシアは、少し表情を緩めた。

「……変わってるわね、あなた」

「そう?」

「ええ。みんな、私に勝ちたくて練習してる。でも、あなたは違う」

 彼女は、僕の隣に立った。

「私も——守りたい人、いたわ」

「いた?」

「過去形よ。もう、いない」

 エリシアの声は、寂しそうだった。

「家族は、みんな期待ばかりする。『アーデンフェルトの血筋』だから、完璧であれって。友達は、みんな私を恐れる。才能がありすぎるから、近づけないって」

 彼女は、空を見上げた。

「孤独よ。ずっと」

 僕は、彼女の横顔を見た。

 記憶の中の彼女も——同じことを言っていた。

 戦場で、死ぬ直前に。

「君は、一人じゃないよ」

 僕は、言った。

「え?」

「僕がいる。それに、レインもいる。セレナもいる。君が望めば、友達になれる」

 エリシアは、驚いたように僕を見た。

「……なんで、そんなこと言うの?」

「君を、一人にしたくないから」

 僕は、正直に答えた。

「君は、強い。でも、強いからこそ——誰かと一緒にいるべきだと思う」

 エリシアは、しばらく黙っていた。

 そして——小さく、笑った。

「変な人ね、本当に」

「よく言われる」

「……ありがとう」

 彼女は、小さな声で言った。

「考えてみる。友達になること」

「うん」

 エリシアは、訓練場を出て行った。

 その後ろ姿を見ながら、僕は思った。

 変わり始めている。

 未来が、確実に変わり始めている。

 あの未来で、エリシアは孤独だった。

 でも今回は——違う。

 彼女は、仲間を持つことができる。

 そして、一人で死ぬこともない。


 その夜、寮の部屋で本を読んでいると、ノックの音がした。

「エリオ、いる?」

 レインの声だ。

「うん、どうぞ」

 ドアを開けると、レインが深刻な顔をしていた。

「ちょっと、話がある」

「どうしたの?」

「今日、変な噂を聞いたんだ」

 レインは、部屋に入って声を潜めた。

「王都で、不穏な動きがあるって」

「不穏な動き?」

「隣国ゼフィロスとの関係が、悪化してるらしい。国境付近で、小競り合いが起きてるって」

 ゼフィロス——

 その名前に、僕の体が固まった。

 六年後、アルメイダ王国と戦争をする国だ。

「まだ小さな衝突らしいけど……もしかしたら、大きな戦争になるかもしれないって」

 レインは、不安そうだった。

「僕たち、まだ学生だから関係ないかもしれないけど……でも、怖いよね」

 僕は、何も言えなかった。

 戦争——

 それは、六年後のはずだった。

 でも——もう始まっているのか?

 それとも、これが前兆なのか?

「エリオ?」

「ああ、ごめん。ちょっと、考え事してた」

「そうだよね。怖いよね、戦争なんて」

 レインは、窓の外を見た。

「でも、きっと大丈夫だよ。王国は強いから。すぐに解決するって」

 僕は、頷いた。

 でも——心の中では、違うことを考えていた。

 これは、始まりかもしれない。

 世界の転換期の、始まり。

 六年なんて待ってくれないかもしれない。

 もっと早く、危機が来るかもしれない。

 ならば——

 もっと急がなければ。

 もっと強くならなければ。

 準備する時間は、思ったより短いのかもしれない。


 レインが帰った後、僕は一人で考え込んだ。

 窓の外には、星空が広がっている。

 静かな夜。

 でも、この平和は——いつまで続くのか。

 コンコン。

 また、ノックの音。

「レイン? まだ何か——」

 ドアを開けると、セレナが立っていた。

「起きてると思ったわ」

「セレナ……どうして?」

「話があるの。入っていい?」

「うん」

 セレナが部屋に入り、ドアを閉めた。

「聞いたでしょう? 国境の小競り合いのこと」

「うん」

「あれは、始まりよ」

 セレナは、深刻な顔をした。

「歴史は、繰り返す。三百年前も、こうだった」

「三百年前?」

「前回の大戦よ。小さな衝突から始まって、やがて大陸全土を巻き込む戦争になった」

 セレナは、窓の外を見た。

「そして、文明の半分が滅んだ」

 僕は、息を呑んだ。

 文明の半分——

「今回も、同じ道を辿るかもしれない。いいえ——」

 セレナは、僕を見た。

「今回は、もっと悪いかもしれない。なぜなら、今回の戦争は——世界の転換期の戦争だから」

「世界の転換期……」

「そう。五千年ごとの、滅びと再生の時期。今、まさにその時が近づいている」

 セレナの目は、真剣だった。

「エリオ、あなたの時間は——思ったより、短いかもしれない」

「分かってる」

 僕は、拳を握った。

「だから、もっと急ぐ。もっと強くなる」

「それだけじゃ足りないわ」

「え?」

「力だけでは、世界は救えない。知識が必要。そして——仲間が必要」

 セレナは、僕の手を取った。

「一人で戦わないで。私がいる。レインがいる。エリシアもいる。みんなで戦いましょう」

 その手は、冷たかった。

 でも——確かな温もりがあった。

「ありがとう、セレナ」

「どういたしまして。それが、観測者の役目だから」

 彼女は、微笑んだ。

「それに——あなたは、私の初めての友達でもあるから」

「初めて?」

「ええ。三百年で、初めて。本当のことを話せる相手」

 セレナの目に、涙が浮かんでいた。

「ずっと、秘密を抱えて生きてきた。誰にも言えずに。でも、あなたには言えた」

「セレナ……」

「ありがとう、エリオ。あなたに出会えて、本当に良かった」

 僕は、彼女の手を握り返した。

「僕も、君に出会えて良かった」

 二人で、しばらく無言で手を繋いでいた。

 窓の外の星空が、静かに見守っていた。

 そして——僕は決意した。

 この世界を、救ってみせる。

 戦争を止めて、世界の転換期を乗り越えて。

 リーシャを守り、家族を守り、村を守り、そして——

 セレナも、エリシアも、レインも、みんなを守る。

 それが、循環者としての僕の使命だ。

 たとえ、何度人生を繰り返すことになっても。

 たとえ、永劫回帰から逃れられなくても。

 それでも——戦い続ける。

 大切な人たちの笑顔を守るために。

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