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プロローグ
死ぬ瞬間、僕は考えていた。
ああ、やっぱり痛いんだな、と。剣で刺されるのは、想像していたより遥かに痛かった。腹に風穴が空いて、内臓が焼けるように熱い。血が喉に逆流して、呼吸ができない。
空が青い。
こんな時に、そんなことを思う自分が滑稽だった。
倒れた僕の視界の端で、リーシャが叫んでいる。声は聞こえない。でも、彼女が泣いているのは分かった。
ああ、守れなかった。
結局、僕は何も——
目を開けると、木の天井が見えた。
見慣れた、我が家の天井だ。染みの位置まで覚えている。右の隅に、雨漏りでできた茶色い染みがある。
「……え?」
体を起こす。小さな手。細い腕。窓から差し込む朝日を見て、僕は混乱した。
これは、僕の部屋だ。でも、こんなに小さかったか? 机も、棚も、全てが大きく見える。
鏡を見た。
そこに映っていたのは、十二歳の僕だった。




