<EP_005>
哲也は窓の外で何かを振るう風切り音とガシャガシャという音に目を覚ます。
窓を開けると、アパートの駐車場で魔導鎧を身に着けた士郎が、シュツルムブリンゲンを振るって、様々な型を行っていた。
最近は、いつも、この音で目覚めさせられる。
「うるせぇぞ、士郎!朝稽古なら、せめて、鎧は脱げっていつも言ってんだろ!」
眠りを妨げられ、哲也は思わず怒鳴ってしまう。
「師匠、おはようございます。でも、コイツを振るう時は鎧を着てるッスから、実戦を考えると、これが一番なんス。Yeah!」
士郎は汗を拭きつつ、右手を突き出し力こぶを見せつけると爽やかな笑顔で言い放った。
「師匠、暇なら自分とトレーニングしましょうよ。たまには地稽古とかどうです?」
「やかましい。あー、俺はパチンコに行ってくるぜ」
そう言うと哲也は窓を閉め、着替えをし、アパートを出る。
すると、士郎がついて来ようとした。
「師匠。自分もお供するッス」
「うるせぇ、ついてくんな。パチ屋の駐車場で汗だくでスクワットする連れはいらねぇんだよ!」
そう言いながら哲也は<つくば>の路地を歩いていき、ガシャガシャと魔導鎧を鳴らしながら士郎がついていった。
遠くに見える筑波山には、秋の気配が漂っていた。
【魔晶都市ブランシュ 完】




