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転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~  作者: ゆる弥


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11/21

11.食堂での攻防

 午前の座学が終わったため、お昼の時間になった。


「皆お昼は?」


 気を使ってバアルくんが聞いてくれた。


「僕は、食堂かな……バイトしなきゃ」


「私もー! なんでバイト?」


「学費を出してもらったんだけど、生活費くらいは自分で稼ごうかなって」


「えらーい! 私は親から仕送り来るからいいんだぁ」


 エリスちゃんは可愛がられてそうだもんね。

 僕も可愛がられてはいるんだけど、なんだか、申し訳ないんだよね。


「リオンくんは偉いなぁ。オレも親から貰えるからいいやって思ってたんだけど」


 バアルくんは頭を掻きながらそう口にした。

 いや、いいと思うんだよね。

 なんだろう。なんか遠慮しちゃっている自分がいる。


「なんか自由に使えないというか。自分のお金ではないから……」


「んー。たしかにねぇ。でもさ、この学院に入ったってことは、将来はダイバー目指すんでしょ? 配信でいっぱい稼げばいいじゃん!」


「えっ? この学院てダイバーになるために入るんだっけ? 他の職業ダメなの?」


 暫くの二人の沈黙が流れる。


「ふふふっ」

 

「ぷっくくくっ」


「「アハハハハッ!」」


 二人に大笑いされてしまった。


「なんの為の学院だと思ってたの? おっかしー!」


「いや、父さんに行っておいた方がいいって言われて……」


「だから来たんだ! 素直か!」


 ダイバーになる為の学院だったのかぁ。だったら配信とかして稼ぐことになっちゃうじゃん。なぜここを勧めたのだ。父よ。


 目立つの嫌いだって知ってたのに。

 でも、だからこそかな。

 少し世間を見て来いってことなのかな。


「ダイバーって基本はダンジョン探索で稼ぐんだよね?」


「そうよ。宝箱狙うか、最下層までの攻略を目指すか、タイムを狙うか!」


「攻略はダンジョンコアを取る」


「そう! それでそのダンジョンは消えるわ。コアを換金。タイムは到達する速さを競う。それはお金が掛けられているわ」


 どこまでいっても目立つこと間違いなさそうだなぁ。


「今のってテストにも出たよね?」


「出たっけ?」


 僕は覚えていなかった。横にいたバアルくんを見ると笑い転げていた。


「ひぃー。面白すぎるー。リオンくん、難問しか解いてないから簡単な問題覚えてないんじゃないの? プッハハハッ!」


 あーそう言われればそんな問題もあったような、なかった様な。まぁ、いっか。


「何食べる?」


 僕が問うとエリスさんはサラダを指さした。


「私、あれとってくる!」


「オレはカリーにしようかな」


 カリーとかもあるんだ。凄いなぁ。勇者様様だ。


「僕は、パストにしようかな」


 なんでパスタはパスト。ラーメンはルーメンでちょっと似てるけど違う言葉なんだろう。それはいつも疑問なんだよね。


 調理場から受け取ると席を探す。

 手を振っているエリスさんがいた。

 なんか注目されてる。


 そりゃあれだけの美少女だもんね。

 注目されない方がおかしいか。

 違う席に座ろうかな「どこ行くの?」後ろからガッシリとバアルくんに掴まれた。


「いやー。なんか違う席の方が……」


「エリスさん、泣くよ?」


「うぅ……」


 こっちが泣きたいよ。

 こんなに目立つなんて。

 めちゃくちゃ見られてるじゃん。


 席に着くとエリスさんに睨まれた。

 うぅ。わかってるよ。ごめんて。


「なんで違う方、行こうとしたの!?」


「えっ? いやーなんか……目立ってたから……」


「ねぇ、もう言っちゃうけどさ、リオンくんさ、自分が一番目立ってんだからね!?」


「えっ?」


「えっ? じゃなくて! 自分が目立ってるの!」


「そんなわけないよ。こんな目立たない格好してるのに。さぁ食べよう」


「はぁ。ダメだこりゃ」


 そんなわけないじゃないか。

 僕があなた達より目立ってるなんてあるわけがないんだから。


「まぁ、まぁ、いいんじゃない? 自分では目立ってないって思ってるならさ?」


「いいけどさぁ、私達ばっかり目立ってるっていうのは、違うじゃん!」


 バアルくんが上手く収めてくれることを願おう。

 僕は、もうすすり始めたから終わるまでは止まらないよ。


「まぁ、でも、事実ではあるじゃん?」


「そうだけど……むー」


 口をムーとしてこちらを睨んでいるエリスさん。その顔も可愛いから眼福なんだけどね。

 その可愛い顔が目立たないわけがない。


 黙々とこちらを見ながらサラダを食べているエリスさん。なんだか恐いんですけど。何かされそうなそんな気が。


「ほっ!」


 エリスさんが手で僕の前髪を上げようとしたようだ。スウェーでかわす。そんなの通用しないよ。


「くそー。ダメか」


「プッ! エリスさん、流石にさ、リオンくん相手に力づくは無理があると思うよ?」


「んー。そうよねぇ。素顔見せてくれないしなぁ」


「だってオレは同じ部屋だけど、部屋から出てくる時、いつもこの格好だもんね。ブレない」


 だって。ちゃんとセットしてから部屋を出てるもんね。万が一見られたら大変だから。


「待つしかないかぁ」


「そう。オレたちは待つしかない」


 何を待ってるんだろう?

 僕空気になっちゃってたから分かんないや。

 このミートソースパスト美味しいなぁ。


 学院の食堂ってこんなに美味しいんだねぇ。

 カリーも期待できるな。

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