出来事
家に帰っても、さっきのことが、頭から離れない。
ベッドに横たわり、天井を見ながら、考えていた。
何で、あんなところに、動物達が、沢山いたのか?
何で、おとぎの世界が、あったのか?
あの場所は、何なのか?
ずっとあったのか?
何で、あんな場所に、行けたのか?
考えれば、考えるほど、分からないことだらけだ。
そもそも、狐は喋ったのか?
もしかしたら、自分の勘違いで、妄想なのかも。
神社のベンチで、寝てたのかも。
全部、夢だったと思った方が、しっくりくる気もする。
でも、あれは、夢の中のものではない。
ヒヤッとした感覚、フカフカの芝生の感触。
今でも、思い出せる。
グルグルと、今日のことを、考えていたので、
お母さんが、呼ぶ声にも、気が付かなかった。
「美優、ご飯だってば‼︎」
部屋のドアが、乱暴に開かれて、お母さんが言った。
不意のことだったので、美優は驚いて、急いで、体を起こした。
「あ、ごめん、気付かなかった。すぐ行く。」
そう答えて、階段を降りながら、お母さんに、話しかけた。
「ねぇ、お母さん、今日ね…」
話しかけてから、考えた。
こんな話しても、信じてもらえないだろうな。
自分でも、信じられない。
夢か、現実か、分からない話だ。
どう話して、良いのかも、分からない。
そもそも、一人で行くことを、禁止されてる神社に、一人で言ってたことが、バレてしまう。
「うん?」
お母さんの相槌を聞いてから、
「ううん、やっぱり、何でもない。
今日のご飯、何?
お腹空いた。」
と、美優は話を変えていた。
明日、もう一度、神社に行って、確かめよう。
そう思い、食卓に座って、ご飯を食べた。