虐めっ子の虐め
放課後の秘密基地は、今日も穏やかな風が吹いて、心地よかった。
それとは裏腹に、美優の心の中は、靄がかかったようだった。
「みーちゃん、何かあった?」
「えっ…?なんで?」
「気持ち悪いって言ってた時から、なんか変って言うか…。
体調が悪いのかなって思ったけど、なんか考え事してる時の顔してる。」
「はるちゃんには、隠せないか…。」
そう言うと、ふーっと、一息ついた。
「最近、鮫川さん、1人でいること、多いなって思ってたんだけど。今日、前仲良くしてた子達が、鮫川さんの悪口言ってるの、聞いちゃったんだ。
きっと、今のターゲットは鮫川さんなんだって思って…。」
「うん。そーなんだろうね。」
「はるちゃん、気付いてたの?」
「うん。確信は無かったけど。そうなのかなって思ってはいた。」
「はるちゃんの事、虐めてた人だし、私も嫌な事されたし、ざまーみろって思うんだけど…。
なんかモヤモヤしちゃうって言うか…。」
「そっか。みーちゃんは優しいから。」
「そんなことない。現にざまーみろ、自業自得だって思っちゃうし。」
「ふふふっ。私も同じだよ。ざまーみろって思うし、自業自得だって思う。
でもやっぱり、モヤモヤする。
虐めてた人だから、虐められていい理由には、ならない。
でも、鮫川さんが、楽しそうに笑ってるの見るのも、腹が立つし。
何で虐めてた奴が、何も苦しまず、虐められてた自分ばっかり、辛い思いしなきゃいけないんだって、思っちゃう。」
「そうだよね。。。」
「どうなっても、やっぱりスッキリしないよね。
ターゲットじゃなくなったって、どこかで、また、その光景を、見なきゃいけなかったり。
そしたら、嫌でも思い出すもん。
自分が、そこにいたんだって。
それだけで、なみだが出てくる。
良いことなんて、何もない。
虐めなんて、無くなればいいのに。」
「うん。」
晴風の言葉の重みに、美優は言葉が出てこなかった。
何を言っても、薄っぺらくなってしまいそうで。
「鮫川さんが、虐められてても、さすがに一緒には居られないかなぁ。
私はそこまで、出来た人間じゃないな。」
晴風が、悪戯っぽく笑った。
その顔が少し、無理をしている様な、複雑な表情に見えた。




