晴風side②
美優ちゃんにあった日、私は、もう学校に行くのを止めようかって、思っていた。
物はなくなるし、もうこれ以上、お母さんに隠し通すのも、無理かもって、思い始めていた。
精神的にも、限界だった。
全部話して、学校休んで、楽になりたいって、思っていた。
ここで会った事に、美優ちゃんは、明らかに、ビックリした顔をしていた。
久しぶりに話す同級生に、緊張したけど、ここなら、二人しかいない。
そう思って、話しかけた。
前と変わらない会話が、とても嬉しかった。
学校では、避けられているけど、ここでは話してくれるってことに、私の事が嫌いになった訳じゃ無かったんだって、思えて、嬉しかった。
『ごめんね。』
って、言ってくれたことが、
帰りに見た、鮫川さんの行動を教えてくれた事が、
少しだけ、味方を見つけたみたいで、心強くなった。
そして、帰り際に言ってくれた、
『2人だけの秘密にしよう。』
この言葉に、どれだけ救われたか…。
独りぼっちだった私が、誰かとまだ、一緒に何かをできることが、誇らしかった。
また、ここで会える、話せる、秘密を共有できることが、私を支えてくれた。
あんなに学校行くの止めようって、暗い気持ちだったのに、帰る時には、足取りが軽く、家に帰ると、お母さんに、「なんかいい事、あったの?」なんて、聞かれるほど、浮かれていた。
明日の学校が楽しみ、なんて思えたの、いつ振りだっただろう。
それからも、勿論、学校では、一人だったけど、
放課後の楽しみがあったから、気持ちは軽かった。
休みの日も、みーちゃんと遊んだり、ここの探検をしたり、クリスマス会をしたり、私の日常が、華やぎ出した。
お菓子を作って行くと、とても嬉しそうに食べてくれる。
誰かの為に作るのが、こんなに楽しいって思ったのも、初めてだった。
誰にも話したことがなかった、夢の話をしたり、
2人で大笑いしたり、
一緒に居ると、とても落ち着く。何でも、話せる。
私だけかもしれないけど、こういうのが親友って、言うのかな、なんて思ってしまう。
みーちゃんの親友になりたいって、思ってしまう。
調子に乗りすぎかな。
冬休みに入る少し前から、みーちゃんは、ここに来るのが、遅くなった。
避けられてる?って、少し不安になったけど、
次の日、学校に行くと、机の引き出しに、無くなった物が、入っていた。
その時に、ピンときた。
みーちゃんだ。
見つけて入れてくれてるんだって、そんなことしてくれるのは、みーちゃんしか、居ないと思った。
嬉しくて、目頭が熱くなるのを感じた。
皆んな、敵だと思ってたのに、
私は一人じゃない。
まだ戦える。
そう思えた。
3年生になって、待ちに待ったクラス替え。
みーちゃんと、同じクラスになって、心の中で、ガッツポーズをした。
その直後、鮫川さんの名前を見つけ、奈落の底に、叩き落とされた気分だった。
やっと、虐めから解放されるチャンスだったのに…。
そう、思っていたけれど、みーちゃんは目を合わせては、笑いかけてくれた。
虐められ始めてから、学校で誰かに、笑いかけてもらうなんて、初めてだったから、戸惑ってしまったけど、正直、めちゃくちゃ嬉しかった。
学校でも一人じゃないよって、サインを送ってくれてるみたいで、心強かった。
その日は、お母さんからの頼まれ事があって、いつもの神社には行けなかった。
みーちゃんに連絡はしたけれど、返信があったのは、帰ってからだった。
特に、いつもと変わらないメール。
安心して、次の日、学校に行ったら、いつもと様子が違う。
鮫川さんとすれ違っても、何も言われない。
(あれ?終わったの?)
半信半疑、教室に戻ってみると…
明らかに、みーちゃんの様子が、おかしい。
皆んなが、みーちゃんを、避けてる。
俯いたみーちゃんは、唇を噛み締めて、何かに耐えているようだった。
それは、いつかの自分を見ている様な…。
移動教室の時、鮫川さんに声を掛けられた。
「一緒に行こう」って…。
調子が良すぎるだろって思った。
でも、これでハッキリした。
私は、虐めから解放されて、次は、みーちゃんがターゲットなんだって。
ずっと待ちに待った日が、まさか自分の大切な友達に変わるなんて…。
こんな皮肉、あるんだな。
でも、やっと解放されたんだ。
大好きな友達と、一緒にいたい。
たとえ虐められても、2人なら、何も怖くない。
少しでも、みーちゃんに、恩返しできるかな。
あなたのヒーローに、私もなれるかな。
だから、言ったんだ。
「鮫川さん、誘ってくれて、ありがとう。
でも、私、美優ちゃんと、行きたいんだ。
ごめんね、先に行っててくれる?」




