晴風side①
私は、木崎晴風。
引っ込み思案な性格だけど、今までは、特に問題も無く、楽しくやって来た。
中学2年のクラス替えがあるまでは…。
中学2年で、初めて鮫川さんと、同じクラスになった。
特に、仲良く、喋った記憶もない。
挨拶を、交わした記憶もない。
でも2年生になって、2週間が過ぎた頃、急に周りが、余所余所しくなった。
小学校からの友達も、1年で仲が良かった子も、皆んなが、私を避けている。
挨拶をしても、気まずそうに、小声で返すか、聞こえない振りをするか。
目が合っても、逸らされてしまう。
何が起こってるのか、全く分からなかった。
そして、それを見て、クスクス笑う、鮫川さん達に気付いて、私がイジメのターゲットにされていることが、分かった。
一瞬にして、私の学校生活は変わり、愕然とした。
それからは、毎日、学校に行くのが、嫌になった。
でも、お母さんに言うのも、嫌だった。
家族に、知られたくなかった。
虐められてる惨めな自分を、大好きな家族に、見られたくなかった。
お母さんにも、悲しい思いを、させたくなかった。
だから、学校に行った。
少しでも、誰とも顔を合わせなくて良いように、早く学校に行き、早く帰るようにした。
元々、読書が好きだったから、休み時間は、大体、図書室に居た。
日に日に、エスカレートしていく虐めに、耐えるしかなかった。
いつか、終わる日が来る。
その日が来るのを、ただただ、待っていた。
虐めは、無視だけでは、なかった。
悪口、陰口、私に聞こえるように、大きな声で言ってくる。
最初の頃は、胸が張り裂けそうな思いでいた。
唇を噛み締めて、俯いていないと、涙がこぼれ落ちそうだった。
周りも、絶対に、聞こえているだろうけど、何も言わない。
この状況だったら、誰も、何も言えないのも、分かる。
苦しくて、悲しくて、一人ぼっちの自分が、惨めだった。
夏休みは、学校に行かなくていいので、最高の気分だった。
今までなら、友達と遊んだり、一緒に宿題をやったりして、過ごしていたけれど、1学期にこんな事があったから、誰にも、声を掛けられなかった。
誰かを誘って、断られるのも、怖かった。
友達からの誘いも、もちろん、なかった。
時間が沢山出来たので、学校や図書館から、お菓子のレシピ本を借りて、お菓子作りを始めた。
これが思いの外、楽しくて、集中してる時は、嫌なことも忘れられて、ハマってしまった。
でも、楽しい時間は、あっという間で、嫌でも現実に引き戻される。
夏休みが終わり、2学期が始まった。
1学期は、悪口がメインだった虐めも、2学期になると、酷くなっていった。
変な手紙が、下駄箱に入っていて、行ってみると、そこには鮫川さん達がいて、「自意識過剰」と言われたり、、、。
物が無くなったり、隠されたりした。
ノートに、いたずら書きもあった。
毎日が、嫌で嫌で、仕方なかったある日、
学校の帰りに、寄り道して帰っていると、狐に出会った。
まさかこんな所で、狐に会うなんて思わなかったので、ビックリと嬉しさで、気が付いたら、追いかけていた。
そしたら、2度ビックリ!!
神社の中に入って行った。
覗くと鍵があったので、開けて入ってみる事にした。
中は、薄暗くて、冷んやりして、なんか今の自分の気持ちにピッタリだなって、感じがした。
それからも、なんとなく、気になって、毎日、学校帰りに、神社に来ていた。
ここに来ると、なんだか、落ち着く。
1日、誰とも話さないから、ここに来ては、狐相手に話をした。
返事はしないけど、なんか、聞いてくれてるみたいな気がして…
話すだけでも、楽になるとは、良く言ったもので、狐に話すだけでも、なんとなく、気持ちが楽になった気がした。
最初は、冷んやりした、薄暗かったこの場所も、
気がつくと、草原のような、穏やかな場所に、変わっていた。
この神社では、秋祭りがある。
去年は行かなかったお祭りも、今年は行ってみた。
誘う人も居なかったから、一人で行った。
皆んながいる時に、あの末社は、どうなっているのか、どうしても、気になったから。
秋祭りに来ている中学生は、少ない。
でも、一人だけ、見つけた。
同じ小学校だったお友達。
声を掛けたかったけど、困った顔されるのも、嫌だった。
だから、気付かない振りをして、やり過ごした。
それから、秋が深まっていた、ある日、
ここで、村田美優ちゃんに、あった。




