ヒーロー
「みーちゃん、行こう。間に合わなくなっちゃうよ。」
黙ったままの、美優に、晴風が声を掛けて、肩をポンっと叩いた。
何も言えず、教科書を持って、教室から出た。
歩いて行くと、渡り廊下に出た。
春の日差しが差し込み、心地よい風が吹いている。
美優は、立ち止まって、晴風に話しかけた。
「どうして…。
こんな事したら、また、はるちゃん、イジメのターゲットになっちゃうよ。」
晴風が振り返り、美優を見て、笑いかけた。
「どうしてって…。
解放されたなら、みーちゃんと一緒に居たいよ。
それだけ。」
あっけらかんと、晴風は答えた。
「でも、、、でも、私がターゲットなんだよ。
せっかく解放されたのに、また…。」
「みーちゃんが一緒なら、またじゃないよ。」
晴風は、優しく微笑み、穏やかに話した。
「でも、緊張した〜。鮫川さんと話したの、初めてだったし。
急だったから、ビックリしたよ。
普通に返したつもりだったけど…、声上擦ってなかった?」
「えっ…、そんなことは、なかったけど。」
「それにしても、みーちゃんと、同じクラスになれて、学校で一緒に居られるなんて、嬉しい。
こんな日が来るなんて、思わなかった。」
「えっ…私も嬉しいけど。でも…はるちゃんに、迷惑かけちゃう。」
美優は、戸惑ってしまう。
本当に良いのかな。また虐めが続いてしまったら…。
そう思うと、申し訳なさで、いっぱいになる。
「何、言ってるの?全然、迷惑なんか、掛けてないよ。」
そう言うと、晴風は、美優の隣まで戻ってきて、美優を見て言った。
「みーちゃんは、私のヒーローだから。」




