前触れ
美優は、少し、重い足取りで、新しい教室に向かった。
途中で、同じ小学校出身の友達や、杏奈ちゃん、香織ちゃんに会った。
「美優、おはよう。クラス違ったね〜残念。」
「おはよう、杏奈ちゃん。ホント残念だよー。」
「香織も、違うクラスだし、寂しいよ。」
「杏奈ちゃんのクラス、遊びに行くね。」
「うん!待ってる。私も美優のクラス行くよ〜。手紙書くね。」
「ありがとう!楽しみにしてる。私も書くね。」
途中で、そんな会話を、交わしながら、3年3組の教室に着いた。
中に入ると、新しい顔触れに、少し居心地が悪い。
自分の席を探していると、琴乃が声を掛けてきた。
「美優、同じクラスだったんだね。よろしくねー!」
「琴乃ちゃん、おはよう。同じクラスになるの、初めてだね。よろしく。」
「ねー。初めてだよね。まぁ、アイツもまた一緒なんだけど。」
そう言うと、琴乃は、晴風の方を、チラっと見た。
晴風は、席に座り、本を読んでいる。
「2年間も、同じクラスとか、マジ最悪ー。」
晴風にも、聞こえる声で、琴乃は言った。
美優は、何も言えず、俯いてしまう。
クラスの皆んな、琴乃が、晴風を、虐めているのを、知っているので、誰も、声を掛けない。
聞こえてない振り。
その時、チャイムが鳴った。
美優は、ホッとして、自分の席に座った。
晴風を見ると、何もなかったかのように、本を読み続けていた。
今日は、始業式と言うこともあり、ホームルームと式で、学校は終わりだった。
帰る支度をして、ふと視線を上げた時、晴風と目が合った。
秘密基地の時の癖で、笑顔で返すと、晴風は、少しビックリした顔を、一瞬見せてから、軽く笑顔を返してくれた。
(せっかく同じクラスになれたから、普通に喋れたら良かったのにな…。)
そんなことを思いながら、美優は教室を出て行った。
そんな二人の、何気ないやり取りを、ずっと見ている人がいた事に、美優も、晴風も、気付いていなかった。




